交差点での右直事故に遭い、車が廃車となり通院も継続中。それにもかかわらず、過失割合の決定や物損賠償が進まず不安を感じている方は少なくありません。この記事では、そうした状況がなぜ起こるのか、どう対応すべきかをわかりやすく解説します。
右直事故における過失割合の判断が遅れる理由
右直事故とは、交差点で直進車と右折車が衝突する事故です。このケースでは、どちらにどれだけの過失があるかを決めるのが非常に難しく、交渉が長引く傾向があります。
たとえば、直進車が信号を守っていた場合でも、右折車側が「対向車のスピードが速すぎた」「自分はすでに交差点に進入していた」など主張することがあり、主張の食い違いが過失割合の決定を遅らせる原因になります。
また、防犯カメラやドライブレコーダーの映像がない場合、当事者の供述だけに頼ることになり、さらに協議は長期化します。
物損賠償が遅れる主な要因
車の修理費や買い替え費用などの物損賠償は、過失割合が確定しないと支払われないケースが一般的です。そのため、過失割合の協議が長引けば長引くほど、物損賠償の支払いも先延ばしになります。
特に全損(廃車)になった場合、査定額を巡ってもめることがあり、「時価額」に基づく補償が妥当かどうかが争点となります。たとえば、年式は古くても市場価値が高い車の場合、保険会社の査定額と実際の購入費用に大きな開きが生じます。
弁護士に依頼していても進まない理由とは
弁護士に依頼している場合でも、相手方も弁護士を立てている場合は「弁護士同士の交渉」が基本になります。これにより一見スムーズに進みそうですが、実際は法的根拠に基づく主張がぶつかり合うため、かえって長期化するケースもあります。
また、弁護士が資料収集や事故状況の検証に時間をかけることもあり、依頼者にとって「何も進んでいない」と感じてしまうこともあります。
ただし、弁護士が介入していることで損害賠償の適正化や交渉の負担軽減につながるため、焦らず任せることも大切です。
過失割合や賠償の交渉を早めるためにできること
過失割合や賠償交渉を早めるためには、事故直後にできる限り多くの証拠を集めることが重要です。具体的には、ドライブレコーダー映像、現場写真、目撃者の証言などが有効です。
事故後時間が経ってしまった場合でも、現場に設置された防犯カメラの確認や、近隣店舗への聞き込みを弁護士に依頼することで、新たな証拠が見つかる可能性があります。
また、弁護士との定期的な連絡を保ち、進捗状況や今後の見通しを確認することで、不安を軽減できます。
通院慰謝料と物損賠償は別々に考える
通院慰謝料(人身)と物損賠償(車両など)は法的には別枠で処理されます。そのため、物損部分だけが長引いている場合でも、人身部分の手続きを先に進めることが可能です。
実際、治療が終了したタイミングで「後遺障害の認定」などがあれば、その審査に入ることで、人身賠償の交渉は独立して進められます。
こうした進行を分けて考えることで、全体の解決までのストレスを軽減することができます。
まとめ:焦らず、しかし積極的に関わる姿勢を
右直事故のような複雑な事故では、過失割合や物損賠償の交渉が長引くことは珍しくありません。しかし、弁護士への相談や証拠の整理、進捗の確認を通じて、少しずつ前進させることは可能です。
一番大切なのは「待つだけ」でなく、「情報を確認し、対応できることを行う」姿勢を保つこと。弁護士に依頼していても、定期的に状況を確認することで、より納得のいく結果に近づけるでしょう。