街頭でのチラシ配布は、企業や個人が広告・広報活動として日常的に行う手法です。しかし、「道路使用許可が必要」という解説が多く見られる一方で、特定の判例では「不要」とされる事例もあり、混乱が生じています。この記事では、判例・法的根拠・行政の実務運用の観点から、チラシ配布における道路使用許可の必要性について詳しく解説します。
道路使用許可の根拠となる法律とは?
道路での行為に関しては、道路交通法第77条に基づき、通行に支障を与えるような行為には「道路使用許可」が必要とされています。チラシ配布についても、配布者の動きや通行人の滞留が交通の妨げになると判断された場合、許可が求められるケースがあります。
具体的には、歩道の一部を占拠したり、大声を出したり、集団で配布するなどの行為があると「交通の妨害」と見なされる可能性があります。
判例では「許可不要」なケースも存在
一部の判例では、通行の妨げにならない範囲で行うチラシ配布は「通行に対する支障とはならない」として、道路使用許可を不要と判断されたケースがあります(例:東京地裁平成19年3月の判決)。
これは個人が静かに、立ち止まらずに歩行しながら配るような状況を想定しています。つまり、配布の態様がポイントであり、すべてのチラシ配布が無許可で可能なわけではありません。
なぜ多くのサイトが「許可が必要」と言うのか?
法的には態様により許可が不要な場合があるとはいえ、警察などの行政機関は安全性を優先するため、現場では基本的に道路使用許可を推奨または求める傾向があります。
特に商業施設前や繁華街など人通りが多い場所では、苦情やトラブルが発生しやすく、許可を取得しているかどうかを確認されるケースが増えているため、多くの法律事務所やビジネス支援サイトは「許可を取るべき」と案内しているのです。
行政指導と実務上の違いに注意
警察庁や各都道府県警察の運用上、曖昧な基準のもとで職務質問や指導が行われることがあります。たとえば、法律上はグレーでも「トラブル防止のためにやめてほしい」と行政指導されることがあり、それを拒否すれば場合によっては軽犯罪法などの別の法令で問題視されることもあります。
そのため、リスクを避けたい場合は事前に道路使用許可を申請することが現実的な対処法といえます。
安全かつ効果的にチラシを配布するには
トラブル回避と効果的なプロモーションのためには、次のような工夫が必要です。
- 歩行者の流れを妨げない場所を選ぶ
- 1人で静かに配布する
- 目立つ格好や大声の使用を避ける
- 可能であれば施設敷地内や店舗前で配布する
- 必要に応じて所轄の警察署に事前確認する
こうした配慮を行うことで、行政指導を受けるリスクを下げつつ、広報活動を行うことができます。
まとめ|道路使用許可の必要性は「ケースバイケース」
街頭でのチラシ配布は、その手法や状況によって「道路使用許可」が必要な場合と不要な場合があります。法的には許可が不要でも、実務では許可が推奨されるというギャップがあるため、配布前には状況を冷静に判断し、行政への確認も忘れずに行いましょう。
より詳細な法的解説や判例については、[参照]をご覧ください。