インターネットオークションの代表格である「ヤフオク」では、商品取引に関するトラブルが少なからず発生しています。なかでも注目されるのが、商品不良を巡る訴訟で「すり替え防止」を主張するケースです。この記事では、すり替え主張が実際に裁判でどう扱われているのか、過去の判例を参考にしながら解説します。
すり替え主張とは何か?
「すり替え主張」とは、購入者が受け取った商品の不具合を訴えても、出品者が「その商品は私が送ったものではない、すり替えられた可能性がある」と主張することを指します。特に高額商品や電子機器などで多く見られる主張です。
この主張が裁判で通るかどうかは、基本的に証拠の有無や整合性に大きく依存します。
実際にあったすり替え主張の裁判例
過去には、原告がヤフオクで購入した商品に不具合があったとして出品者を提訴したものの、被告側が「すり替えられた可能性がある」と主張し、原告が不具合の証拠を動画で提示できなかったため、原告が敗訴した事例があります。
このケースでは、裁判官が原告に対して「開封から動作確認までの一連の動画提出」を求めたものの、提出できなかったために「商品に不具合があった」との主張に信憑性が乏しいと判断されました。
詳細はこちらの参考記事で紹介されています。
証拠の重要性と立証責任
裁判では、主張した側がその内容を立証する責任を負います。つまり、商品に不具合があったと主張する場合は、購入者側がその証拠を提示しなければなりません。
特に開封直後の状態、商品に外傷がないか、動作確認の様子などを動画に残しておくことが有効です。逆に出品者としては、発送前の商品状態を写真や動画で記録しておくことが、万一のトラブル防止になります。
民事裁判におけるすり替え主張の限界
すり替え主張が通るかどうかは、あくまでも「疑わしい合理的根拠」があるかどうかに依存します。単に「すり替えられたかもしれない」という憶測では、裁判では不十分です。
そのため、購入者が「開封して動作確認する様子の動画」を提出できなかった場合や、販売者が「発送時の記録を保管している」場合などに、すり替えの主張が有利に働くことがあるのです。
ヤフオク利用者が取るべき予防策
取引後のトラブルを防ぐには、以下の対策が推奨されます。
- 発送前に商品の外観・動作確認を動画や写真で残す
- 高額商品は特に梱包過程も記録する
- 受け取った側も開封から使用確認までを動画撮影する
- メッセージでやり取りを残しておく(商品説明との相違などの証拠)
とくに電子機器や中古品では状態が重要なため、上記の証拠保全はトラブルの予防だけでなく、自分の主張を裏付ける力になります。
まとめ
ヤフオクでのすり替え主張は、裁判で必ずしも「通る」わけではありませんが、証拠の整備が不十分な場合には出品者に有利となることもあります。購入者も販売者も、自分を守るための証拠記録を徹底することで、無用な訴訟リスクを避けることができます。
ネットオークションは便利である一方、責任の所在を明確にするための準備と記録が求められます。