キャッシュカードの拾得と返却にまつわるマナーと法的な対応|拾った人・落とした人が取るべき行動とは

ATMや銀行窓口での手続きの際に、通帳やキャッシュカードをうっかり置き忘れてしまうケースは珍しくありません。今回は、拾った人が警察に届けた後、落とし主が気づいて手続きを行ったという状況において、「拾った人にお礼をするべきか」「警察や銀行にどう対応すべきか」といった点について解説します。

拾得物法上の取り扱いと拾い主の権利

遺失物法(旧:遺失物等に関する法律)によれば、拾得者は速やかに警察に届け出る義務があります。届け出た拾得物については、警察が保管し、一定期間内に持ち主が現れなければ拾得者に所有権が移る場合もあります。

ただし、キャッシュカードや身分証などは本人以外の所持や利用が制限されており、現金や物品のように所有権が移ることはありません。したがって、拾った人はカードの返却以上の権利を持たないのが通常です。

落とし主は拾い主にお礼をする義務があるのか

遺失物法第28条では、落とし主は拾得者に対し「拾得物の価格の5~20%の範囲で報労金(謝礼)を支払う義務がある」と規定されています。ただし、拾得物が現金や商品などでなくキャッシュカードや通帳である場合、その義務は生じません

また、カード自体には金銭的価値がなく、悪用がないことが確認されれば、お礼を省略しても法的問題はありません。とはいえ、善意で届けてくれた方に対して感謝の気持ちを伝えることは、社会的なマナーとして好ましい行動です。

警察から連絡が来たときの対応方法

警察から拾得物に関する連絡があった場合、まず身分証を持って警察署へ赴きましょう。カードが本人のものであると確認されれば、返還手続きを進めることができます。

返還時には、カードをすでに使用停止にしていた場合でも、それを伝えて丁寧に対応することが重要です。また、「拾って届けてくださった方に感謝しています」と一言添えると、トラブルも避けられます。

銀行へ連絡した後の対応と再発行手続き

カードをなくしたことに気づいた時点で、銀行に連絡し使用停止の手続きを取った場合、その時点でカードは第三者による使用ができなくなります。再発行には本人確認書類が必要となるため、速やかに窓口で申請しましょう。

再発行中に警察から拾得の連絡があった場合、カードを受け取っても再発行の手続きが有効となるため、もとのカードは使えなくなります。この点も注意しましょう。

具体的な事例で見る:カードの置き忘れと対応の流れ

実際にあった例では、ATMでの通帳利用時にカードを挟んだまま返却されず、次に利用した人が発見して警察へ届け出。落とし主はその後カード使用停止を申し出て、再発行の手続きを進めていたが、数日後に警察から拾得の連絡を受け、正式に受け取って終了したという流れでした。

このような事例では、拾得者が名乗り出るケースもありますが、匿名の場合もあり、お礼の可否はケースバイケースです。

まとめ:感謝と丁寧な対応がトラブル回避のカギ

キャッシュカードや通帳などの金融機関に関連する物を置き忘れた場合、すぐに使用停止と警察への確認を行うことが重要です。拾って届けてくれた方への法的な「お礼の義務」はありませんが、感謝の意を表すことで良好な関係が築けます。

対応次第で今後のトラブルを避けられることもあるため、誠意ある行動を心がけましょう。

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