社用車での交通事故後、ドライブレコーダー(ドラレコ)の映像提出を求められることは珍しくありません。しかし、中には「聞かれたくない音声や映像が含まれているため、一部だけ削除したい」と考える人もいるかもしれません。この記事では、ドライブレコーダーのデータを一部削除することのリスクや発覚する可能性について詳しく解説します。
ドラレコの構造と保存形式を理解しよう
多くのドライブレコーダーは、マイクロSDカードに1分〜3分単位で映像をループ保存しています。古い映像から順に上書きされる仕組みのため、一部だけを選んで削除することも物理的には可能です。しかし、その際にはタイムスタンプの不自然さやファイル構造の変化が残る可能性があります。
また、専用ビューアソフトでは「連続した時系列で映像があるか」が一目で分かるため、削除や編集の痕跡があるとすぐに疑われます。
一部削除は技術的に可能だがリスクが高い
ドラレコのSDカードをPCに接続すれば、個別の動画ファイルを削除することは技術的には容易です。しかし、削除した時間帯の記録がないことは明白になり、かえって不審に思われる結果となります。
また、メーカーによっては削除ログや録画異常の履歴を自動記録する機能があるため、「消したこと」は第三者に解析されれば簡単に発覚します。
証拠改ざんの疑いがかかるリスクも
事故調査や社内報告において、ドライブレコーダーの映像は重要な証拠資料です。一部を意図的に削除した場合、最悪の場合「証拠隠滅」や「懲戒処分」といったリスクを背負うことになりかねません。
たとえ事故の直接的原因と無関係の映像であっても、報告に対する誠実性を疑われることがあり、社内外の信頼を大きく損ねる結果になる可能性があります。
削除したくなるケースと対処の工夫
たとえば「サボっていた」「関係ない会話をしていた」など、プライベートな内容を含む場合でも、映像の削除は避けるべきです。その代わりに、上司や担当者に事情を説明し、対象部分だけ再生を避けてもらうよう依頼するなどの対応が現実的です。
実際に「事故とは無関係な映像があるが、その部分はプライバシーに配慮して処理してほしい」と申し出ることで、信頼を失うことなく対応できた事例もあります。
どうしても削除したいときの選択肢
法的には、自身の記録媒体に保存された映像の削除を「違法」とする明確な規定はありませんが、業務上の指示や会社規則に反する場合、懲戒の対象となる可能性があります。
どうしても削除を避けたい場合は、信頼できる第三者(法務担当や顧問弁護士など)に相談の上で処理を行うべきです。無断での削除は絶対に避けましょう。
まとめ:データ削除は発覚リスク大、誠実な説明が最善策
ドライブレコーダーの映像を一部削除することは技術的には可能ですが、タイムスタンプの欠落やファイル不整合から発覚するリスクが非常に高く、疑念を招くだけです。
事故後の信頼関係や社内評価を守るためにも、映像の一部削除ではなく、内容について率直に説明し、必要であれば閲覧制限をお願いするなど、誠実な対応を選択することを強くおすすめします。