ストーカー被害を届け出た際、その後の警察の対応に不安を感じる方は少なくありません。特に「防犯カメラ映像や証言に違いがあった場合、届け出は取り消されるのか?」という疑問は、被害者にとって非常に重要です。本記事では、ストーカー規制法に基づいた対応の流れと、警察の判断プロセスについてわかりやすく解説します。
ストーカー被害の届け出が受理されるまでの流れ
まず、ストーカー行為に関する届け出は、被害者が「つきまとい」や「監視行為」などの被害を受けたことを警察に申告することで始まります。警察は、話を聞き取った上で、事実関係の確認と証拠の収集に着手します。
この段階では、証拠が完璧である必要はなく、本人の不安や被害感情をもとに捜査が始まります。つまり「受理」は警察による正式な対応のスタートを意味します。
防犯カメラや証言の差異が見つかった場合は?
届け出後に警察が調査を進める中で、防犯カメラの映像や第三者の証言により、当初の申告と異なる点が見つかる場合があります。例えば「時間帯が違っていた」「相手の行動が思っていたより自然だった」などです。
しかし、このような違いがあったとしても、直ちに受理が取り消されることはありません。警察は事実関係を総合的に判断し、捜査の必要性を見極めます。誤解による申告であった場合には、それに応じた柔軟な対応がなされるのが一般的です。
被害者の主観と客観的証拠のバランス
ストーカー行為の多くは被害者の感情や不安に基づくものであるため、警察は「主観的被害感」と「客観的証拠」の両方を重視します。
例えば、被害者が「毎朝玄関前に立っていた」と主張していても、映像に映っていなかった場合は、「立ち寄りはしていたが長時間ではなかった」「タイミングが合わなかった」などの解釈もされ得ます。こうした場合、警察は被害者に説明を求めつつ、悪意性や継続性を検討します。
受理後に「ストーカーではない」と判断されるケース
防犯カメラや証言が決定的なものであり、警察が「ストーカー行為ではない」と判断した場合、被害届としての対応が終了となる場合もあります。たとえば、行為に「恋愛感情や好意の充足を目的としていない」と明確に確認できたケースなどです。
しかしこれは「受理の取り消し」ではなく、捜査によって犯罪構成要件に該当しないと判断された結果にすぎません。被害者が嘘をついたとみなされるわけではなく、誤解による訴えと捉えられます。
警察に正しく伝えるためのポイント
- 日時や場所、頻度などは可能な限り正確に記録して伝える
- 不安な気持ちも明確に伝える(心理的負担も判断材料になります)
- 第三者の証言やスマホのメモ・録音なども有効な補助資料になります
感情的な説明に終始すると、誤解や伝達ミスが生じやすくなります。冷静に状況を整理して、簡潔に伝えることが大切です。
まとめ:届け出後の対応は柔軟だが、記録と冷静な対応が鍵
ストーカー被害を警察に届け出たあと、防犯カメラや証言で当初の話と食い違いが見つかっても、それが直ちに受理の「取り消し」となることはありません。警察は総合的な事実確認をもとに慎重に判断を進めます。
被害を受けたと感じた場合は、迷わず届け出るとともに、自分の感じた不安や事実を記録・整理しておくことが、スムーズな対応につながります。