私有地で自分の車を駐車中にもう一台の自分名義の車にうっかりぶつけてしまった――こうしたケースは、交通事故として警察へ通報すべきか迷う方が少なくありません。この記事では、自損事故や所有車同士の接触が起きた際の正しい対処法と、警察への連絡が必要かどうかについて詳しく解説します。
私有地内での事故は道路交通法の対象外?
事故が起きた場所が「私有地」か「道路(公道)」かによって、適用される法律が変わります。たとえば、完全に一般通行者の立ち入りが制限されている私有地(フェンスで囲まれた個人敷地など)では、道路交通法は適用されません。
そのため、私有地内での車同士の接触は原則として交通事故の「届け出義務」の対象外であり、警察に届けなくても法的な問題になることは通常ありません。
自分の車同士でぶつけた場合の処理
両方の車が自分の所有であり、他人や第三者の関与がない場合、法律上は「物損事故」かつ「自損事故」とみなされ、警察への届出義務は発生しません。事故として処理するかどうかは、主に保険を使うかどうかに関わってきます。
たとえば、車両保険を使用して修理費を請求する場合、保険会社から事故証明(警察への届け出)が求められることがあり、その際には警察へ「事故証明のために連絡する」必要があります。
警察に届け出を出すメリットと注意点
事故証明書を取得しておくことで、今後の保険申請や修理費用の請求時に有利になる可能性があります。一方で、事故として記録が残ることで、等級ダウンや保険料の増加など、デメリットもあります。
保険を使わずに自費で修理する場合や、損傷が軽微であれば、あえて警察を呼ぶ必要はないという判断もあります。
警察を呼ばなかったことでトラブルになるケース
たとえ自分の車同士でも、以下のような特殊なケースでは警察への通報が望ましいことがあります。
- 事故のはずみで他人の所有物や塀などに損傷を与えた
- 借用中やリース中の車を損傷させた
- 保険の使用条件として警察への通報が明記されている
実例として、レンタカーや会社名義の車両にぶつけた場合は、自損事故であっても警察への連絡と保険申請が必須となることがあります。
弁護士への相談が必要な場合
特別な契約や第三者の損害に関わる可能性がある場合、または保険会社とのトラブルが発生した場合には、弁護士に相談することで正確なアドバイスを得られます。
とはいえ、完全な私有地内で自分の所有物のみの損傷である限り、法律トラブルに発展する可能性は極めて低いといえるでしょう。
まとめ:警察への通報はケースバイケースで判断を
私有地内での所有車同士の軽微な接触事故は、基本的には警察への通報は不要です。ただし、保険の利用や第三者への影響がある場合は、事故証明が求められるため、通報しておくと安心です。自身の状況に応じて、合理的かつリスクの少ない対応を選びましょう。