事件やトラブルに巻き込まれたとき、自ら警察を呼んだ場面での「記録」としての撮影は、安心の材料にもなり得ます。しかし、実際には警察官に怒鳴られたり、撮影をやめるよう強く注意されたりするケースもあります。本記事では、警察対応中の撮影が法的に許されるのか、またトラブルを避けるためのポイントについて解説します。
警察官の撮影は原則として違法ではない
結論から言えば、公共の場で警察官を撮影すること自体は、原則として法律に違反する行為ではありません。日本では公共の場において、誰かを撮影することは肖像権やプライバシーに配慮する必要はあるものの、絶対的に禁止されているわけではありません。警察官は公務員として職務中の行動が一定の「公共性」を持つため、私人よりもある程度の撮影は容認されやすいとされています。
実際、マスコミの報道や市民による監視の一環として、警察官の職務執行を撮影するケースもあります。ただし、その撮影方法や目的によってはトラブルになる可能性もあるため注意が必要です。
怒鳴られたり注意される背景とは
たとえ撮影が違法でなくても、警察官が強い口調で撮影を止めるよう言うことがあります。これは以下のような理由による場合が多いです。
- 現場の安全確保が必要(撮影者が介入しているとみなされる)
- 個人情報の写り込みを懸念している(被疑者や被害者のプライバシー)
- 捜査・対応への妨げになると判断された
また、警察官の中にも市民の撮影に対する理解が十分でないことから、必要以上に過剰な反応をしてしまうこともあるようです。
撮影が違法とされるケース
公共の場でも、次のような撮影行為は違法とされる可能性があります。
- 撮影の目的が威圧的・挑発的であると判断される場合
- 警察官の顔にカメラを至近距離で突きつけるような態度
- 撮影内容がネットで拡散され、名誉棄損・プライバシー侵害となる
また、警察施設の中や捜査資料が映り込む場所などでは、法律や規則に基づいて撮影が制限されるケースもあります。
安心して撮影するためのポイント
撮影をめぐるトラブルを避けるためには、以下の点を意識することが重要です。
- カメラをむやみに向けず、記録の目的があることを説明する
- 被害者や第三者の顔が映らないように配慮する
- 警察官に不快な言動をせず、対話的に対応する
- 万が一、撮影を止めるよう言われたら、その理由を尋ねる
自らの身を守るために撮影を行うという姿勢を、あくまで冷静に保つことが大切です。
撮影映像を証拠に使えるか
現場で撮影した映像や音声が、法的な証拠として有効になるケースもあります。特に、警察対応に不当なものがあったと感じる場合や、自分の正当性を後から説明する必要があるときには、記録の存在が大きな支えになります。
ただし、映像をネット上で公開する際には、プライバシーや名誉毀損に注意が必要です。必要に応じて専門家の助言を受けるのが望ましいでしょう。
まとめ:合法な撮影と適切な対応が大切
警察対応中の撮影は、原則として違法ではなく、一定の権利として認められています。しかし、現場の状況や撮影者の態度次第で、トラブルに発展することもあります。大切なのは、自らの権利を冷静に行使しつつ、相手への配慮やマナーを忘れないことです。
もし警察官の対応に納得がいかない場合には、その場で無理をせず、後日、都道府県の公安委員会や弁護士などを通じて対応するのも一つの方法です。