父が末期のガンと診断され、ご家族の将来のために相続準備を進めたいと考えていらっしゃる方向けに、今できる具体的準備と注意点をまとめました。
遺言の作成と法的効力
父名義の各種契約や不動産、銀行口座などについて、できれば「公正証書遺言」を作成しておくのが望ましいです。
日本では遺言があると、法定相続人同士の争いを避けつつスムーズな手続きが可能になります。特にフィリピン国籍など国際性がある場合には、母国法との整合性も重要です。
国籍が異なる場合の相続法・手続き
被相続人がフィリピン国籍の場合、相続には原則フィリピン法が適用されます。子どもや配偶者の法定相続分など、日本との違いにも注意が必要です。
また、日本国内の財産については、日本の不動産登記や銀行手続きが別途必要となるため、早めに整理を進めておくことが重要です。例えば、法務局への相続登記は相続開始から3年以内が義務化されています。
財産目録と事前準備
父の契約内容や保険、不動産、預金などをリスト化して「財産目録」を作成して家族で共有しておくと、万一の際に迅速に対応できます。
フィリピン国籍の相続人がいる場合、日本側では戸籍が使えず、本国大使館や領事館の書類(出生証明書、AFFIDAVITなど)と日本語訳が必要です。
名義変更や契約の移転
専門家と相談のうえ、将来的に名義を譲渡することが可能な契約については、今のうちに名義変更の相談を進めるのも一案です。
例えば賃貸契約や保証契約などは、父が万一のとき親族の誰かが引き継げるよう売買や変更の相談をしておくと安心です。
専門家への相談
国際相続・日本での不動産・フィリピン法対応などは複雑なため、行政書士・司法書士・弁護士など専門家に早めに相談することを強くおすすめします。
適切な書類準備、翻訳、公証、法務局・銀行対応まで一括で進められる体制を整えておくとご家族の負担が軽減されます。
実例と具体例
例えば、父と母どちらかが先に亡くなった場合、子どもが相続申告を分けて行うことで、基本控除額が2回利用でき税負担を軽減できます。
また、フィリピン国籍の相続人がいるケースでは、出生証明書や婚姻証明書、公証人による宣誓書(AFFIDAVIT)などの提出が必要になる実例があります。
まとめ
事前に遺言作成、財産整理、名義移転、専門家相談を進めることで、残された家族が手続きを負担なく進められます。特に国際要素がある場合は、母国法との整合と書類準備が鍵です。