托卵が判明した場合の養育費と嫡出否認の法律的対応|実子でないと分かったときに考えるべきこと

配偶者との間に生まれた子が実子でなかったと知ったとき、精神的衝撃とともに法的対応に直面します。特に「養育費を支払う義務があるのか?」という疑問は、托卵被害を受けた夫にとって非常に重大です。この記事では、日本の法律に基づく嫡出否認や養育費の義務について詳しく解説します。

嫡出子とは何か?民法の基本を理解する

日本の民法では、婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子は「嫡出子(ちゃくしゅつし)」とされ、法律上、自動的に夫の子とみなされます。これを「嫡出推定」と呼びます。民法第772条によると、子が婚姻成立後200日以降に生まれた場合は、夫の子と推定されます。

つまり、仮に実子でなかったとしても、法的には夫の子と扱われてしまうのが原則なのです。

嫡出否認とは?DNA鑑定で実子でないと証明したいとき

托卵(実子でない子)と知った場合、「嫡出否認の訴え」を家庭裁判所に提起する必要があります。この訴えによって嫡出推定を否定し、法的に父子関係を解消することが可能です。

ただし、注意点として、嫡出否認は子が生まれたことを知ってから1年以内に訴えを起こさなければなりません(民法第774条)。5歳の子の場合、原則として時効が成立しているため、否認が認められない可能性が高いです。

養育費は支払わなければいけないのか?

嫡出否認が認められれば、法律上の親子関係が消滅するため、養育費の支払い義務もなくなります。しかし、嫡出否認ができない場合、法律上は「父親」であり続けるため、養育費の支払い義務が生じます。

このため、すでに時効を過ぎているケースでは、例えDNA鑑定で実子でないことが判明しても、養育費を支払わなければならないのが現実です。

離婚と親権・養育費の交渉はどう進めるべきか

離婚に際しては、親権や養育費、面会交流なども話し合いの対象になります。ただし、嫡出否認ができない場合には、離婚後も「父親」としての責任を法的に負うことになります。

養育費の取り決めは協議または調停で決定され、月額の支払い額は収入・生活状況に応じて決められます。

嫡出否認が認められない場合の代替手段

どうしても納得できない場合、子の戸籍を巡って「親子関係不存在確認の訴え」を行うケースもあります。ただし、この訴えは嫡出否認とは別であり、さらに高いハードルがあるため、専門の弁護士に相談することが必須です。

また、托卵による精神的苦痛が大きい場合には、不貞行為に基づく慰謝料請求も検討できます。

専門家への相談が解決の第一歩

このような家庭内の法的問題は極めて複雑で、感情的な問題も絡みます。早い段階で家事事件に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。特に「嫡出否認の可否」「養育費の支払い義務」「離婚後の親権問題」など、個別の事情によって判断が分かれるためです。

法テラスなど公的支援制度を使えば、初回の法律相談が無料になる場合もあります。

まとめ:托卵と判明したらすぐに法的対応を

子どもが実子でないと判明した場合でも、法律上は「嫡出推定」によって父親とされるケースがあります。養育費を支払いたくない場合は、1年以内に嫡出否認の訴えを起こす必要があり、5歳の子であればすでに時効の可能性が高いでしょう。

まずは、正確な法律知識と専門家の意見を得て、適切な対応を取りましょう。心の整理も含め、法的な支援を受けることが新たな一歩になるはずです。

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