オンラインゲームは世界中の人と気軽に交流できる反面、トラブルや感情的な衝突もつきものです。とくに海外製のアプリでは、文化やルールの違いも背景にあり、気づかないうちに規約違反や法的リスクに発展するケースも存在します。本記事では、ゲーム内トラブルから誹謗中傷につながった場合のリスクと、その対応方法について詳しく解説します。
ゲーム内の暴言はどこまでが許容範囲か
多くのオンラインゲームには「通報」機能や「ブロック」機能、場合によっては「殴る」などエンタメ要素を含んだシステムがあります。しかし、それらを超えて相手の人格や家族、血縁関係に言及する暴言は、たとえ感情的だったとしても明確な誹謗中傷に該当する可能性があります。
日本国内ではSNSやメッセージ機能での誹謗中傷行為が「侮辱罪」や「名誉毀損罪」として刑事告訴されることも増えています。民事での慰謝料請求も可能で、これはゲームアプリ内でも例外ではありません。
海外アプリでも日本の法律は適用される?
今回のケースのように、アプリがシンガポールや中国、台湾などの海外製であっても、日本国内の利用者同士で起きたトラブルについては日本法が適用される可能性があります。とくに日本のIPアドレスで利用されていた、または日本人ユーザーが相手である場合、開示請求や訴訟も日本の裁判所で対応されることがあります。
ただし、海外企業が運営するアプリの場合、開示請求に応じるかどうかはその企業の運用ポリシーに依存します。一般的に中国系アプリは法的請求に対して消極的な傾向があり、シンガポール系は比較的中立的です。
スクリーンショットの証拠力と消去の意味
メッセージを送信したあとすぐに削除したとしても、相手がスクリーンショットを保存していた場合、それは十分な証拠となり得ます。日本の裁判実務でも、スクショは証拠として採用されており、内容が明確で、発信者が特定できる場合には法的リスクは回避できません。
「1通だけ」「すぐ削除した」「相手も挑発してきた」といった事情は、量刑や慰謝料の算定には影響しますが、免責にはなりません。
開示請求と意見紹介通知のタイミング
誹謗中傷に対する開示請求は、相手がプロバイダー(SNSやアプリ会社)を通じて行います。日本国内でのプロバイダ責任制限法に基づく開示請求では、対象者に「意見照会」が届くのは早ければ数週間〜2ヶ月ほどです。
ただし、今回のようにアプリ運営が海外にある場合、意見紹介が行われることはほぼありません。裁判所を通さず、アプリ運営会社が独自の判断でアカウント停止を繰り返すという対応に留まることが多いです。
今後気をつけるべき対応と心得
どんなに理不尽なプレイヤーに遭遇したとしても、「通報」や「無視」「運営への報告」で対処し、個人への直接攻撃を避けることがベストです。特にオンライン上では記録が残りやすく、スクショやログが後に法的証拠として使われるリスクがあります。
感情に任せた発言は、匿名であっても現実の責任に直結することがあります。冷静に距離を取る姿勢こそ、トラブルを避ける最善策です。
まとめ:ネット上の一言が人生を左右することも
オンラインの世界は自由である反面、現実世界と同じように法的責任が伴います。「たった一言」であっても、それが他者を深く傷つける内容であれば、重大な問題へと発展しかねません。
今回のようにアカウント停止で済むケースもあれば、相手によっては弁護士を立てて法的手続きを進める場合もあります。トラブルに巻き込まれないためには、「発信前に1秒立ち止まる」習慣が何よりも大切です。