スケートボードと車両の接触事故が発生した場合、運転者と歩行者、もしくはそのほかの通行人の双方にどのような責任が生じるのでしょうか。特に横断歩道上での事故では、運転者側が注意義務を負うとされがちですが、スケートボードに乗っていた場合は判断が分かれるケースもあります。この記事では、実際の道路交通法や判例、具体的な対応策までわかりやすく解説します。
スケートボードは「歩行者」ではない?法律上の位置づけ
道路交通法上、スケートボードは「車両」には該当しませんが、「歩行者」とも扱われないケースがあります。特にスピードを出して移動していた場合、実質的には「遊具による通行」とみなされ、本来、横断歩道で乗ったまま渡る行為は推奨されていません。
警察庁の見解によると、キックボードやスケートボードは「交通のひんぱんな道路では使用を控えるべき」とされており、横断歩道をボードに乗ったまま通行する行為は、マナー違反にとどまらず危険行為とされることがあります。
ドライバー側の注意義務はどこまで?
車両が横断歩道に進入する際は、基本的に「歩行者優先」が原則です。仮に歩行者が信号無視や突然の飛び出しをしても、ドライバーには減速・一時停止などの注意義務があります。ただし、スケートボードに乗った状態で急に飛び出した場合は、ドライバー側の過失が軽減される可能性もあります。
特に、20km/h以下という安全運転をしていた場合や、相手が夜間に目立たない服装をしていた場合などは、ドライバーの責任が問われにくくなる可能性があります。
相手が立ち去った場合の対応方法
今回のように、スケートボーダーが接触後に立ち去ってしまった場合、ひき逃げのような扱いには原則なりません。しかし、事故の事実は記録に残すべきです。すぐに110番通報し、事故として警察に届け出を行うのが第一です。
さらに、近隣の防犯カメラや目撃者の証言を集めることも大切です。ドラレコがなかったとしても、周囲の監視カメラ映像から状況を確認できる可能性があります。
示談や損害賠償の責任はどうなるのか
相手が特定できなければ、損害賠償の請求も困難です。ただし、自動車保険に「無保険者傷害特約」や「人身傷害保険」があれば、一定の補償を受けられるケースもあります。
また、相手が見つかった場合でも、スケートボードに乗ったまま横断歩道を渡っていたという状況であれば、過失割合が50:50やそれ以下になる判例もあり、全額賠償責任を負うケースは少ないと考えられます。
防止のためにできること:ドラレコ設置と夜間の運転対策
今回のように相手が逃げてしまうと、証拠が非常に重要になります。ドライブレコーダーは自分を守るための必需品です。また、夜間はスケボーや自転車など、予測できない動きをする通行人が増える時間帯。速度を落とし、ライトで広範囲を照らすなどの工夫も事故防止につながります。
まとめ:法的判断はケースバイケース、まずは届け出を
・スケートボードに乗って横断歩道を通行する行為は、歩行者とは見なされない可能性あり
・ドライバーにも一定の注意義務があるが、速度や時間帯、周囲の状況により過失割合は変動
・相手が立ち去った場合も事故として警察に届け出ることが最優先
・証拠を残すためにドラレコの設置や、夜間の運転に注意を
事故後の対応次第で、今後の処理が大きく変わります。冷静な判断で記録を残し、必要であれば弁護士や保険会社に相談することをおすすめします。