交通事故で負傷し、長期にわたり通院することになった場合、慰謝料のほかにも主婦であっても「休業損害」を請求できるケースがあります。本記事では、主婦が交通事故に遭ったときに請求できる補償内容やその算定方法について、具体的な例を交えて解説します。
主婦にも適用される「休業損害」の考え方
一般的に、休業損害は給与所得者に対して支払われるものというイメージがありますが、実は「主婦業」も経済的な価値を持つ労働として認められており、損害賠償の対象となります。これを「家事従事者の休業損害」と呼びます。
主婦であっても、事故によって家事労働が制限されたり、家族の世話ができなくなったりした場合、それに伴う損失が金銭評価されて保険会社などから賠償されるのです。
休業損害の算定方法と具体的な金額
休業損害の金額は、原則として「賃金センサス(女性全年齢の平均賃金)」を基準に日額を算出し、それに家事に従事できなかった日数を掛けて算定されます。
例えば、2024年の女性全年齢の平均賃金日額が約10,000円だと仮定すると、事故によって家事ができなかった期間が90日間であれば、休業損害額は90万円程度になります。
慰謝料は通院日数で変わる?主婦の場合の相場
慰謝料は「精神的損害に対する補償」であり、通院の頻度や期間によって金額が変動します。裁判所基準では、通院日数や治療期間に応じて次のように算定されます。
例:
通院期間6か月(180日)で通院実日数が70日程度の場合、慰謝料相場は約53万円前後とされるケースが一般的です。
この慰謝料は、任意保険基準・自賠責基準・裁判基準で大きく差がありますので、交渉によっては増額される可能性もあります。
主婦が注意すべき請求のポイント
主婦が休業損害や慰謝料を請求する際には、次のような点に注意しましょう。
- 家事がどの程度できなかったかをメモや医師の診断書で証明する
- 保険会社の提示額が相場より低い場合は増額交渉を検討する
- 可能であれば、弁護士に相談して裁判基準での算出を依頼する
特に専業主婦の方は、自分の「労働」が金銭的評価に値することを自覚し、適正な補償を受け取ることが重要です。
通院頻度が高い場合の評価はどうなるか
週に3〜4回という頻度で半年間通院していた場合、通院日数としても高く評価されやすく、慰謝料の算出において有利に働く傾向があります。
このようなケースでは、主婦の休業損害と慰謝料を合わせて100万円以上となる可能性もあり、適切な対応を行うことで損害を回復する手段となります。
まとめ:主婦でも正当に請求できる補償は多い
交通事故による通院が続くと精神的・肉体的な負担だけでなく、家庭の生活にも支障が出ます。しかし、主婦であっても「休業損害」や「慰謝料」は法的に正当な権利として請求できます。
納得のいく補償を受け取るためには、通院記録や家事への影響をきちんと整理し、必要に応じて専門家の力も借りるようにしましょう。