交通事故において相手側が自賠責保険から110万円を受け取ったと聞くと、「本当にそんな金額が支払われるの?」と驚かれる方もいるかもしれません。特に軽微な事故のように感じた場合にはなおさらです。この記事では、自賠責保険で支払われる可能性のある金額とその根拠について詳しく解説します。
自賠責保険とは何か?
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、交通事故の被害者を最低限救済するために、すべての自動車に加入が義務付けられている保険です。任意保険とは異なり、主に人身事故に対する補償を行います。
補償の限度額は、死亡事故で最大3,000万円、後遺障害は等級に応じて最大4,000万円、傷害では最大120万円と定められています。
110万円という金額の内訳の可能性
今回のように「ぶつかったと同時に止まった」「スピードは徐行」という軽微に思える事故でも、人身事故として扱われた場合、自賠責保険から最大120万円までが支払われる可能性があります。
例えば以下のような内訳が考えられます。
- 治療費:40万円
- 通院慰謝料(4ヶ月×15日分×4,300円):25万8,000円
- 交通費や診断書費用:数万円
- 休業損害(1日あたり6,100円 × 日数):30万円以上
合計すれば110万円を超えるケースも珍しくありません。
軽い事故でも全額支払われる理由
自賠責保険は過失割合に関係なく「加害者側の保険」から支払われるため、過失10:0の事故でも、被害者側が治療を受けた場合には満額支払われることがあります。
また、被害者が整形外科や接骨院に長期間通院したり、会社を休んだ場合は、そのぶん慰謝料や休業補償が増え、結果的に高額な支払いとなることがあります。
実例:軽微な事故でも100万円以上支払われたケース
ある事例では、駐車場内での接触事故により軽いむち打ち症状を訴えた被害者が約6ヶ月間通院し、110万円近い自賠責保険金を受け取ったケースが報告されています。
このように、事故の見た目の軽重だけでは保険金の額は決まらないのが実情です。
納得がいかないときの対応
もし相手の請求金額や通院実態に不審を感じた場合は、保険会社に異議申立をするか、専門家(弁護士・交通事故相談センター)に相談するのが良いでしょう。
ただし、自賠責保険の支払いは医師の診断書や通院実績に基づいて行われるため、明確な詐病などの証拠がなければ支払いを覆すのは困難です。
まとめ
事故の程度にかかわらず、自賠責保険では治療内容・通院日数・休業損害などに応じて最大120万円まで補償されます。そのため、見た目には軽微な事故でも、医療費や慰謝料がかさむことで110万円が支払われるケースは十分にあり得るのです。
納得がいかない場合でも冷静に情報を整理し、保険会社や専門家に相談することで、今後の対応に役立てることができるでしょう。