神社は日本全国に約8万社存在し、地域の文化や信仰の中心として古くから存在しています。しかし、「神社の所有者とは誰なのか？」という疑問に答えられる人は意外に少ないかもしれません。本記事では、神社の所有権の仕組みや、所有者変更の背景についてわかりやすく解説します。
神社の所有者は「法人格の神社」が基本
神社は法律上、「宗教法人」として登録されています。つまり、神社そのものが法人格を持ち、不動産（土地・建物）や財産を所有することができます。一般的には「○○神社」という宗教法人が、境内地などを所有しています。
例えば「○○神社」は、不動産登記簿上でも「宗教法人○○神社」として所有者として記載されていることが多く、個人ではありません。
神主や宮司は所有者ではない
よくある誤解に「神主さんが神社を所有しているのでは？」というものがありますが、これは基本的に誤りです。神主（宮司）は宗教法人の代表役員であり、あくまで神社の「管理者」に過ぎません。
ただし、過疎地域などでは、宗教法人格を持たず個人所有のまま運営されている小規模な神社も一部存在し、そのような場合は名義が個人のままとなっているケースもあります。
所有者の変更が起こるケース
神社の所有者が変更される主な理由としては、以下のようなものがあります。
- 法人格の取得または返上
- 合祀（ごうし：複数神社の統合）による登記変更
- 土地の寄進または譲渡
- 神社本庁など上部団体の方針による再編
近年では、少子高齢化や担い手不足から、神社の維持が困難となり、近隣神社と合併して宗教法人名義を変更するケースが増加しています。
所有者の登記情報を調べる方法
気になる神社の所有者を確認したい場合は、管轄の法務局で不動産登記簿を閲覧・取得することが可能です。「地番」さえわかれば、誰でも数百円程度で登記情報を確認できます。
また、自治体の固定資産課税台帳（名寄帳）でも所有者情報を確認できる場合がありますが、こちらは制限があるため、原則的には法務局が確実です。
近年の所有者変更の「噂」の正体とは
SNSや地元のうわさで「○○神社の所有者が変わったらしい」と耳にすることがありますが、それは上述のような宗教法人再編、または個人所有から法人化された場合などが該当します。
たとえば、代替わりで個人名義から宗教法人名義に登記し直された事例では、所有者名義が変わることで外部には「誰かに売られた」と誤解されることもあります。
まとめ：神社の所有者は法人が基本、変更には背景あり
神社の所有者は基本的に「宗教法人」であり、神主個人が所有しているわけではありません。登記上の変更があったとしても、それは宗教法人としての手続きや体制変更によるものであることがほとんどです。
気になる神社があれば、正式な手続きを通じて情報を確認し、噂に振り回されない知識を持っておくことが大切です。