痴漢といえば一般的には身体への接触を伴う行為を想像しがちですが、実際には「匂いを嗅ぐ」などの身体的接触を伴わないケースも報告されています。このような行為は違法とされるのか、また警察に突き出すことは可能なのか、この記事ではその法的解釈や実際の対応策について詳しく解説します。
匂いを嗅ぐ行為は痴漢になるのか?
結論から言うと、「匂いを嗅ぐ」という行為自体が痴漢として処罰されるかは状況に依存します。痴漢は刑法上の「強制わいせつ罪」(刑法176条)や、「都道府県の迷惑防止条例違反」として立件されることが多く、通常は物理的な接触を伴う行為が対象です。
しかし、接触がない場合でも相手が明確に不快と感じ、性的な意図が認められるような行為であれば、迷惑防止条例違反として警察が介入する可能性があります。特に、異常に近い距離で執拗に匂いを嗅ぐなどの行為は、公共の場における不安感や恐怖感を与える行為と判断されやすくなります。
都道府県の迷惑防止条例はどう定めているか
各都道府県には「迷惑防止条例」があり、多くの場合「公共の場所または公共交通機関において、不安・不快・羞恥を与える行為」を処罰の対象としています。東京都の場合は、故意に「相手の衣服等に顔を近づけて嗅ぐ」などの行為が処罰対象に含まれる例もあります。
たとえば埼玉県の迷惑防止条例では、「人に対して性的な羞恥心や不安を覚えさせる行為を繰り返すこと」が禁止されています。つまり、触らなくても反復継続的に行われれば違法とみなされる可能性があるのです。
過去の実例や報道から見る対応可能性
過去には「スカートの中にスマホを近づけて匂いを嗅いだ」「髪の匂いを吸うように近づいた」といった行為で、実際に警察に通報され、書類送検された例もあります。
また、明確に録音や録画された証拠があれば、被害届が受理される確率は高くなります。現行犯であれば迷惑防止条例違反として即時通報・逮捕の対象になる可能性もあります。
匂いを嗅ぐだけなら証拠が必要?警察は動いてくれる?
「匂いを嗅ぐ」だけでは客観的な証拠が乏しく、警察も慎重な対応を取ることがあります。ただし、次のような状況であれば証拠と認められることがあります。
- 防犯カメラの映像に不審な接近が記録されている
- 周囲の目撃証言がある
- 連続的にストーカーのような行動が記録されている
- 本人が撮影・録音した映像がある
特に学校や電車、職場など公共性の高い場での執拗な行動であれば、警察への相談や注意喚起も通りやすくなります。
被害を受けた場合にとるべき行動
匂いを嗅がれる、異様に近づかれるといった行為を受けた場合は、次のような対応を検討しましょう。
- スマートフォンで録音・録画を試みる
- できれば周囲の人に助けを求め、その場で注意してもらう
- 駅員・警備員・管理者に報告する
- 警察の生活安全課に相談する(ストーカー規制法の対象になる可能性も)
また、被害が複数回に及ぶ場合は、警察署への被害届や相談履歴が記録されることで、次回以降の対応もスムーズになります。
まとめ:触らなくても不快・危険な行為は通報対象になり得る
たとえ物理的な接触がなかったとしても、公共の場で匂いを嗅ぐなどの異常な接近行為は、迷惑防止条例やストーカー規制法の観点から違法と判断される可能性があります。警察に相談する際は、具体的な状況の記録や証拠を集めることが重要です。
被害を軽視せず、「これくらいなら我慢しよう」と思わず、早めの相談と通報によって自分の安全を守ることが大切です。