ひき逃げ・飲酒・薬物使用などによる交通事故の刑事罰はどうカウントされるのか?複合的な責任の考え方を解説

交通事故に関する刑事罰は、加害者の行為の悪質性によって大きく異なります。特にひき逃げ、飲酒運転、薬物使用などが絡む場合、罪が重なることにより刑罰も重くなります。この記事では、それぞれの罪の法定刑と、実際にどのようにカウントされるかをわかりやすく解説します。

交通事故に関する主な刑事罰とその上限刑

まずは個別の行為に対する法定刑を整理します。例えば、ひき逃げは「救護義務違反」として道路交通法により懲役10年以下。または重過失致死傷罪と組み合わせて懲役15年以下が科される可能性があります。

飲酒運転は、通常の道路交通法違反(3年以下の懲役など)にとどまらず、死亡事故を起こせば危険運転致死罪となり「最長で20年以下の懲役」が適用されるケースもあります。

罪は合算される?併合罪・観念的競合とは

複数の罪が成立した場合、基本的には刑法の「併合罪」または「観念的競合」という考え方が用いられます。併合罪とは、異なる犯罪を別個に犯した場合で、懲役刑ならそれぞれの上限の合計を原則とし、最長30年まで科すことが可能です。

一方、観念的競合は一つの行為に対して複数の犯罪が同時に成立する場合で、この場合は最も重い刑が適用されます。たとえば、飲酒運転中に人を轢き、さらに逃走した場合、「危険運転致死罪(20年)」が最重となり、それが適用される形になります。

危険運転致死傷罪の特徴と厳罰化の背景

危険運転致死傷罪は2001年に新設された比較的新しい罪です。飲酒・薬物・無免許・著しい速度超過などに該当する場合に適用され、死亡事故では最長で懲役20年、複数人死亡など悪質な場合には無期懲役も科され得ます。

この法律の背景には、重大事故の加害者に対し「過失ではなく故意に近い悪質性がある」としてより重い刑を科すという社会的要請があります。

判決における刑罰の決まり方:実例と量刑の傾向

例えば、「薬物使用+ひき逃げ+死亡事故」の場合、東京地裁では実際に「危険運転致死罪+救護義務違反」で懲役18年の判決が下された事例があります。このように、個別の要素ごとの法定刑だけでなく、一連の行為の悪質性や反省の有無、前科の有無なども加味されます。

特に近年は社会の安全意識が高まっており、加害者に厳罰が科される傾向が強まっています。

まとめ:最重罪が適用されるが、加算もあり得る

交通事故において複数の悪質な行為が重なった場合、最も重い罪(危険運転致死など)が中心となって適用されることが多いですが、場合によっては個別の罪を加算して30年以下の懲役刑となる可能性もあります

加害者の行動がどのように評価されるかは、被害者の被害状況、事故後の対応、そして社会的影響なども加味されて決まるため、最悪のケースを想定した厳格な対応がなされるのが現実です。

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