親の相続で自宅の土地を取得したものの、他の相続人から遺留分の請求があった場合、「住む家を売らなければならないのか?」という不安を抱える方も多いのではないでしょうか。特に現金がなく、不動産だけを相続した場合は切実な問題になります。本記事では、遺留分請求を受けた際に今の住まいを手放さずに済むための対処法や選択肢について解説します。
遺留分とは?簡単に確認
遺留分とは、一定の法定相続人が必ず受け取る権利を持つ相続財産の割合のことです。兄弟姉妹には遺留分がありませんが、子ども・親・配偶者には認められています。
例えば、あなたが親からすべての土地を相続し、他の兄弟姉妹が1人いる場合、相手には遺留分として法定相続分の1/2の金額を請求する権利があります。
今の土地を売らないといけないのか?
遺留分侵害額請求は金銭請求が原則です。つまり、土地の一部を渡したり、分割する義務はなく、金銭で支払えば対応可能です。
したがって、土地そのものを売却せずとも、他の手段(例:ローン・分割払い・第三者からの借入)などで補填できる場合は、住まいを守ることができます。
現金がない場合の主な対処法
- 金融機関の不動産担保ローンを検討する
相続した土地を担保にして、遺留分の支払い資金を借り入れる方法です。 - 相続登記後に一部土地を分筆・売却
一部だけ売却して資金を捻出することで、居住部分を維持することも可能です。 - 当事者間での分割払いの合意
相手が納得すれば、月々数万円ずつ支払うなどの分割払いも可能です(公正証書化が望ましい)。
一括で支払えなくても、交渉と工夫次第で現実的な解決策は見つかります。
遺留分請求に対してやってはいけない対応
・何も返答せず放置する
調停や訴訟に発展するリスクがあります。
・感情的に拒否する
遺留分は法律上の権利であるため、拒絶は通用しません。冷静に対応することが重要です。
実例:土地しかない相続でも住まいを守ったケース
ある男性は父親の土地を単独で相続したものの、妹2人から遺留分請求を受けました。現金がなかったため、地元信用金庫から400万円の担保ローンを借りて一括支払い。
土地は残しつつ、無理のない範囲での返済計画を組み、住まいを守ることができました。
まとめ
遺留分請求を受けても、住んでいる土地を必ずしも売却する必要はありません。金銭で解決することが原則であり、ローンや分割払いなど様々な代替手段が存在します。
まずは土地の評価額と請求額を冷静に把握し、支払い可能な方法を検討しましょう。専門家(司法書士・弁護士・税理士)への相談も早期対応の鍵になります。