不倫関係における慰謝料請求は、法律上の大きなリスクです。特に配偶者が離婚を望んでいないケースでは、相手配偶者からの損害賠償請求が現実的に起こり得ます。今回は、家庭内別居中・離婚協議中の夫婦に関わってしまった場合の慰謝料の考え方や相場について解説します。
慰謝料請求の根拠と基本的な考え方
日本の民法では、婚姻関係にある配偶者が不貞行為(肉体関係を含む浮気)を行った場合、相手配偶者に対して損害賠償義務が発生します(民法709条)。
不倫相手も「共同不法行為者」とされ、相手の婚姻関係を破綻させたと認定されれば慰謝料請求の対象となります。
家庭内別居や離婚協議中は「破綻」と見なされるのか?
不倫関係の責任を問う上で争点になるのが「婚姻関係の破綻」有無です。家庭内別居や離婚協議をしていたとしても、法律上の破綻と見なされるには以下の要素が必要です。
- 完全に別居して生活が分かれている
- 修復の意思が双方にない
- 客観的に見ても円満な婚姻関係がない
今回のケースのように「家庭内別居で顔も合わせない」「離婚を数回話し合っている」という事情はありますが、配偶者(妻)が再構築を望んでいることから、「破綻状態」とまでは認められにくいと判断される可能性があります。
慰謝料相場の目安と影響する要素
不倫に関する慰謝料の相場は、以下の通りです。
- 離婚に至った場合:100〜300万円
- 離婚に至っていないが婚姻関係が悪化:50〜150万円
- 短期間の交際・関係継続が不明瞭:30万円前後
本件では、不倫開始が6月で証拠もあることから、相手方が再構築を望む状況では50〜100万円程度の請求が見込まれる可能性があります。ただし交渉や訴訟によって上下します。
「知っていた」ことが不利に働くケース
重要なのは、不倫相手が「既婚者であると知っていたか」です。本件ではLINEで家庭内別居や離婚協議について知っていた証拠があり、「既婚者であることを知っていた(故意・過失)」とされる可能性が高いです。
このような場合は「善意の第三者」としての保護は受けられず、慰謝料の支払義務が肯定されやすくなります。
示談交渉での解決と弁護士の役割
慰謝料請求が来た場合、まずは示談交渉での解決が一般的です。内容証明郵便での請求書に対して、弁護士が代理で対応すれば、金額交渉や支払い回避、減額の可能性もあります。
無視をすると法的手続き(訴訟)に進むリスクもあるため、弁護士に相談して冷静かつ誠実に対応することが望ましいです。
まとめ
家庭内別居や離婚話があったとしても、正式に破綻が認定されない限り、不倫相手に対する慰謝料請求は成立し得ます。特に、配偶者が再構築を望んでいる場合には慰謝料請求が強く出される可能性があります。
慰謝料の相場は状況に応じて変動し、あなたが事実関係を知っていたかどうかも大きなポイントです。不倫に関する法的責任は非常に複雑なので、専門家のサポートを受けながら慎重に対応していくことをおすすめします。