外交官ナンバーを付けた車と交通事故を起こした場合、特別なルールがあるのか?停車していた自車が100%悪くなるのか?という疑問を持つ方は少なくありません。この記事では外交官車両に関する法的特権や、事故処理における実際の運用、そして日本の交通法規の観点からその対応を解説します。
外交官ナンバーとは?その意味と背景
外交官ナンバー(通称「外ナン」)は、外交特権を有する在日外国大使館・領事館の職員やその家族が使用する車両に交付される特殊なナンバープレートです。
このナンバーを持つ車両には「外交特権」が適用され、一定の法的保護を受けますが、交通事故において完全な免責があるわけではありません。
停車車両と外交官車が接触した場合の一般的な責任の考え方
日本の道路交通法において、「正しく停車していた」車両に過失は基本的にないとされます。つまり、追突などの形で外交官車が停車車両に接触した場合、原則として外交官車に責任が発生することになります。
ただし、違法駐車や停車禁止場所での停車だった場合は、被害車両にも過失割合が発生する可能性があります。
外交官の「不逮捕特権」と民事責任の違い
外交官には「外交関係に関するウィーン条約」に基づいて刑事手続からの免除、すなわち「不逮捕特権」があります。しかしこれはあくまでも刑事訴追に限定されており、民事上の損害賠償義務が免除されるわけではありません。
外交官本人ではなく、外交団体として損害の補償を行うケースや、保険会社を通じた対応も通常は行われます。
過去の判例や事例から見る外交官車事故の対応
実際に外交官車両との事故が発生した場合、相手側が責任を認めず、警察も深く立ち入れないケースもあります。外交特権により捜査協力を拒否される可能性もあるため、一般の事故対応より複雑になる傾向があります。
しかし、被害者側が交通事故証明を取得し、保険会社に報告・請求することで、通常の補償プロセスに進むことは可能です。
トラブルを避けるためにできる対策とは?
- 外交官ナンバー車両には近づかず、スペースを空ける
- 事故時は必ず警察を呼び、現場写真・動画を撮影
- 第三者の証言やドライブレコーダー映像が非常に重要
- 自分側の違法性(例:違法駐停車)を避ける
また、保険会社にも「外交官車との事故である旨」をすぐに伝え、専門部署への対応を促すことが重要です。
まとめ:外交官ナンバー車との事故でも過失ゼロにはならない
外交官ナンバーの車が突っ込んできたとしても、停車していた車に常に100%過失があるわけではありません。むしろ、日本の交通法規では「停止していた側が優先」とされるため、正しい状況であれば外交官車側の責任となることが多いです。
ただし、外交特権の存在により、通常よりも交渉が困難になるケースがあるため、冷静かつ法的根拠をもとに行動することが求められます。