執行猶予中の再犯と「弁当分加算」の真相:実刑判決にどう影響するのか

Yahoo!知恵袋の回答で「執行猶予中に懲役8年の実刑判決を受けると“弁当分”が加算され懲役9年になる」という記述がありました。果たして、後から出る実刑判決で過去の猶予期間を刑期に加えるような判決が可能なのか?本記事ではその法的根拠と実態を整理し、報道事例と合わせて解説します。

「弁当分加算」の意味と法的誤解

俗に「弁当持ち」と呼ばれるのは執行猶予期間中の状態を指し、猶予が取り消されれば原則としてその猶予期間に対応する懲役期間も含めた刑期を執行されます。

これは刑法上、「執行猶予が取り消されると、前科分と新たな懲役を合算して実刑とする」制度設計に基づくものであり、後から新判決で“9年”という指示があるわけではなく、法律上の自動計算によるものです。つまり裁判官が後付けで判決に「1年上乗せ」するわけではありません。

併合罪・再犯による判決処理の基本構造

併合罪となる場合、刑法第47条に基づき複数罪の刑期を合算し、最も重い刑にその半分を加えて計算します。また、執行猶予期間中の再犯では、初度執行猶予が取り消されると前刑の懲役分も実刑扱いとなります。

執行猶予の取消し処理は自動的に効力を持ち、後の判決で判決文に加算と明記されることは通常ありません。

裁判例や法律解釈上の見解

法律専門サイトでは「再犯時の刑期合算」は確かに存在するものの、新たな判決で形式的に“懲役9年”などと記載する例は確認されていません。【参照】執行猶予の取り消しにより、キャンセルされた猶予分が実刑分として扱われる事例が基本です。

例えば「懲役3年・執行猶予5年」で再犯した場合、懲役3年+新たな懲役刑の合計が執行され、追加的な“弁当分加算”という文言は用いられません。

実際の報道事例の検索結果と限界

本質問にあるような具体的な報道例(「執行猶予中に懲役8年の判決を受けて9年になった」など)は、ウェブ検索では確認できませんでした。Yahoo!知恵袋などの個人投稿で使われる言い回しであり、裁判文書や報道記事としては事実上存在しない可能性が高いです。

結論:後から“弁当分加算の判決”は出せない

1. 後から出る判決で「弁当分も加算された懲役」が記載されることは**裁判制度上ありえない**
2. 実際には執行猶予取り消しにより前刑と本刑が合算して執行される
3. Yahoo!知恵袋などで使われている言い回しは、制度の誤解や俗称に基づく表現である

まとめ

執行猶予期間中に再犯があった際、裁判所は猶予取り消しの処理を行い、前の懲役と新たな懲役を合算することになります。しかし、後の刑事判決で「最初から懲役〇年」などとするような形式的な“加算判決”はなく、判決文では通常「懲役×年」の判示のみとなります。従って、「弁当分加算」という表現は俗称的表現にすぎず、法的根拠はないと言えます。

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