自転車と自動車の接触事故は、交通事故の中でも多く発生しており、被害者の立場では精神的・身体的な負担に加え、保険対応にも不安を感じることが多いです。とくに、事故後の通院が長期化している場合、保険会社から病院への「調査」や「照会」が行われることがあり、その対応に戸惑うケースもあります。本記事では、自転車事故における保険会社の病院調査の意図や対応方法について詳しく解説します。
保険会社が病院へ調査する理由とは？
保険会社は、支払うべき賠償金額の妥当性を判断するために、被害者の通院状況や治療内容を確認することがあります。この調査は「症状照会」や「医療調査」と呼ばれ、担当医に対して書面で問い合わせる形式が一般的です。
たとえば、通院が事故から2か月以上続いている場合、「医学的に合理的な通院かどうか」や「労災や私病との関係性」などを確認するため、医師に対して「後遺症の見込み」や「治療の必要性」に関する意見を求めるのです。
調査依頼が来たときに取るべき行動
まず、保険会社が病院へ照会をするには、原則として被害者本人の同意が必要です。そのため、同意書への署名を求められた際には、内容をよく確認しましょう。わからない場合は、すぐに署名せず弁護士に相談することをおすすめします。
また、病院側が保険会社からの照会に応じるかどうかも、医師の判断に委ねられているため、通院先の医師と事前にコミュニケーションをとっておくと安心です。
通院が長期化する場合の注意点
保険会社は、事故から時間が経つと「症状固定（治療を継続しても改善が見込めない状態）」を判断材料とし、治療費の支払いを打ち切るケースがあります。そのため、医師の診断書や定期的な診療記録が非常に重要です。
実際の例として、通院が3か月を超えた自転車事故被害者が「症状固定」とみなされ、治療費打ち切りの通告を受けたケースもあります。その後、後遺障害の申請を行い、逸失利益や慰謝料を請求しました。
事故後の損害賠償請求や通院補償の実務
自転車と車の事故では、加害者の過失割合や自転車側の信号状況、ヘルメットの有無なども損害賠償に影響します。通院日数や治療の内容、仕事を休んだ期間の証明があれば、休業損害や慰謝料として請求できます。
特に仕事を休んでいた場合は、医師の指示が明記された診断書や休業証明書（勤務先発行）を提出すると、保険会社の理解が得やすくなります。
弁護士に相談するメリットとは？
交通事故の交渉は、被害者が一人で対応するには精神的にも法的にも負担が大きい場合があります。弁護士に相談すれば、治療費の打ち切り交渉や慰謝料の増額請求、後遺障害認定のサポートなどを受けられる点が大きなメリットです。
最近では、弁護士費用特約がついた自転車保険も普及しており、費用を気にせず相談できるケースもあります。特約の有無は早めに確認しておきましょう。
まとめ：病院調査に焦らず、正しい対応を
保険会社からの病院調査連絡は、通院の正当性を確認するための通常業務の一環です。驚いたり疑われていると感じたりする必要はありません。重要なのは、医師と情報を共有し、証拠を整理し、必要であれば法的サポートを受けることです。
事故後の対応は長期戦になりがちですが、焦らず冷静に対処し、自分の権利をきちんと主張していきましょう。