交通事故に遭い、治療費が高額になった場合、特に自賠責保険が切れていた場合は誰がどのように支払うのか非常に悩ましい問題です。本記事では、過失割合や保険の種類、健康保険を使うべきかどうかなど、交通事故における高額医療費の補償について詳しく解説します。
バイクの自賠責保険が切れていた場合のリスク
自賠責保険は加入が法律で義務付けられており、未加入での運転は「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」となります。さらに、事故を起こした場合は被害者に支払うべき最低限の補償(最大120万円)を自腹で負担する可能性もあるため非常にリスクが高いです。
今回のようにバイク運転者の自賠責が切れていると、加害者であるか被害者であるかにかかわらず、自身の治療費などの補償を受けにくくなります。
健康保険と高額療養費制度の活用
治療費が700万円を超えるようなケースでは、健康保険を使い「高額療養費制度」を適用することで、月10万円程度の自己負担に抑えることができます。高額療養費制度は、医療機関や薬局で支払った自己負担額が限度額を超えた場合に、超えた分が後から払い戻される制度です。
この制度を利用しても、過失割合によっては相手の保険会社へ「被害者請求」をすることでさらに補填を受けられる可能性があります。
相手の自賠責保険へ被害者請求は可能?
たとえ自身の過失が9割とされた場合でも、相手の自賠責保険から最大120万円までは請求できる被害者請求制度があります。この制度では、自賠責保険会社へ直接請求を行うことができ、医療費や通院交通費、慰謝料が対象となります。
ただし、相手が優先道路を走行していた、という証拠(ドライブレコーダーなど)がある場合は、過失割合9:1が妥当と判断される可能性が高く、その場合、全額補償は期待できません。
任意保険とファミリーバイク特約の適用範囲
ご自身がチューリッヒのファミリーバイク特約に加入していた場合、通常これは家族全員が対象となる補償制度です。相手の車に対する対物賠償は補償される可能性がありますが、ご自身のケガやバイクの修理費などは補償対象外であることも多いため、契約内容を再確認することが重要です。
また、相手側が任意保険に加入しており、過失割合が1割でもあるなら、その1割分に対して治療費等を請求可能です。
通院・手術・後遺症に備えてやるべきこと
今後も通院が続く予定であれば、診断書・領収書・通院記録などすべてを整理して保管しておくことが大切です。後遺障害等級認定の申請も視野に入れておくと、将来の賠償額に大きく影響します。
また、弁護士費用特約が利用できる場合は、早めに専門の交通事故弁護士に相談することで交渉や被害者請求もスムーズに進む可能性があります。
まとめ:保険の選択と制度の活用がカギ
自賠責保険が切れていた状態での交通事故は不利な状況を生みやすいものですが、健康保険の高額療養費制度や相手の自賠責保険の被害者請求制度などをうまく活用することで、経済的負担を軽減することは可能です。
補償を最大限受けるためにも、保険会社との交渉や書類整理、場合によっては弁護士への相談を早期に行うことが重要です。今後の生活を守るためにも、制度を正しく理解し、納得のいく補償を受けましょう。