交通事故において、接触の有無や怪我の程度によって警察の対応は変わることがあります。特に、歩行者が立ち去った軽微な人身事故の場合、警察がどう処理するのか不安に感じる方も多いのではないでしょうか。今回は、当事者の一方が立ち去ったケースでの事故処理の流れや、今後の注意点について解説します。
事故発生時に歩行者が立ち去った場合の警察対応
人身事故の届け出があった場合でも、被害者(歩行者)が現場から立ち去ってしまうと、警察はその場で詳細な確認ができません。そのため、事故処理は基本的に一時保留となることが多いです。
警察は加害者(運転者)から免許証や車両の状態、自賠責保険の情報を確認しますが、被害者が怪我を申し出ない場合や連絡がつかない場合、正式な「人身事故」として処理されないことがあります。
「物損事故」として処理される可能性
被害者が負傷していたかどうかが不明で、警察の判断でも「傷が見られない」「接触の証拠がない」とされた場合、通常は「物損事故」または「報告のみ」として扱われます。
この場合、点数の加点や刑事処分の対象とはならず、保険の使用も限定的です。ただし、後から被害者が怪我を訴えた場合には再度警察が動くこともあるため、油断は禁物です。
後日、被害者からの連絡がある場合の対応
被害者が後日、病院で診断を受け「実は怪我をしていた」と申し出てきた場合、人身事故として再処理される可能性があります。このときに備えて、事故当日のやり取りや現場の写真、警察との会話内容などを記録しておくことが重要です。
また、自賠責保険を使用するには、医師の診断書と事故証明書が必要です。被害者から保険請求があった場合には、運転者も保険会社と連携を取る必要があります。
運転者が気をつけるべきポイント
たとえ歩行者が立ち去っても、事故を警察に届け出ることは法律上の義務です。これは「道路交通法第72条」により定められており、届け出を怠ると処罰の対象になります。
また、相手が立ち去った場合でも、その場で自ら警察に連絡し、事故の状況を正確に伝えることが、後のトラブル回避につながります。相手が故意に連絡を絶っている場合や、後から虚偽の内容で訴えてきた場合にも、正確な報告が重要な証拠となります。
同様のケースの参考事例
過去に類似のケースでは、歩行者が立ち去った後に軽微な打撲を理由に人身事故の届け出をし、運転者に行政処分が課せられた事例もあります。一方で、被害者の所在が分からず人身事故として立証できなかったため、不処理のままとなった例もあります。
いずれの場合でも、事故当日にしっかりと警察へ届け出ることが、後の不利を避けるポイントです。
まとめ:歩行者が立ち去った事故でも届け出と記録は必須
軽微な人身事故で相手が立ち去ってしまった場合でも、警察への報告と事故状況の記録は怠ってはいけません。警察は相手からの届出がない限り積極的な捜査は行わない可能性もありますが、被害者が後日連絡してきた場合の備えが重要です。
不安な場合は、加入している自動車保険会社にも早めに相談し、対応方針を確認しておくと安心です。