飲食店の店頭で「○○食べ放題!」という大きな表示を見て入店したのに、実際には制限時間や注文条件などの細かいルールがあって驚いた経験がある方も多いのではないでしょうか。この記事では、そうした表示が景品表示法違反にあたる可能性や、消費者が注意すべき点について解説します。
景品表示法とは?不当表示を防ぐための法律
景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)は、消費者が商品やサービスを選ぶ際に誤認をしないよう、事業者による不当な表示を禁じた法律です。
たとえば、実際よりも著しく有利に見せたり、重要な条件を小さく記載するなどして消費者を誤認させる行為は、この法律で規制されています。こうした不当表示は、行政指導や措置命令の対象になることがあります。
「○○食べ放題」表示で問題となるケース
次のような表示は、景品表示法違反の可能性があります。
- 「食べ放題」と大きく掲げているが、制限時間やメニューに条件があることを目立たない場所にだけ記載している
- 一部の商品しか食べ放題に含まれていないが、全メニューが対象と誤認させる表示
- 「これを注文した方に限る」などの条件を極めて小さく表示している
このような表現は、消費者庁によると「有利誤認表示」に該当するおそれがあります。
実際に摘発・是正された事例
例えば、ある飲食チェーン店では「全品食べ放題」との表記が問題視されました。実際には一部のサイドメニューなどは別料金であったにもかかわらず、全体的に誤認させる表示がされていたため、消費者庁から措置命令が出されたという事例もあります。
また、「○○円ポッキリで食べ放題!」という表示を見て入店した客が、別途サービス料やドリンク代が発生した場合も、十分な明示がなければ不当表示に該当する可能性があります。
店舗側が表示違反に問われないために必要なこと
店舗側は、「食べ放題」の定義や条件を明確にし、店頭でも誰にでもわかりやすく表示する義務があります。小さな文字や店内のみに掲示するだけでは不十分で、入口やメニューなどにもはっきりと条件を表示する必要があります。
消費者庁のガイドラインでも「一般消費者が容易に認識できるように表示すること」が求められています。
もし不当表示だと感じたら、どこに相談できる?
不当表示が疑われる場合は、消費者庁や最寄りの消費生活センターに相談することができます。具体的な証拠(店頭の写真やレシートなど)を残しておくと、調査や改善指導のきっかけとなることもあります。
また、近年はSNSなどでの報告も話題となり、店舗側が自主的に表示を見直すケースも増えています。
まとめ:食べ放題表示は「見た目」だけで判断しない
「○○食べ放題」というキャッチコピーに惹かれて入店した結果、思った内容と違っていたというトラブルは後を絶ちません。消費者としては、入店前にできるだけ条件を確認し、疑問があれば店員に質問する姿勢も大切です。
一方で、店舗側も消費者に誤解を与えないよう、わかりやすく明確な表示を心がけることが求められます。不当な表示には、消費者庁や消費生活センターへの相談も選択肢の一つとして覚えておきましょう。