近年、SNSや動画配信プラットフォームを通じてアニメや音楽などの著作物が無断でシェアされるケースが増加しています。中でもTikTokなどで人気作品の動画を投稿していたアカウントに対して、著作権侵害を理由に削除や開示請求が行われるケースも。この記事では、著作権侵害で開示請求された場合にその後どうなるのか、投稿者の立場から丁寧に解説します。
著作権侵害における開示請求とは
「開示請求」とは、著作権者が権利を侵害されたと主張し、インターネットサービスプロバイダ(例:TikTok運営会社)に対して投稿者の身元情報の開示を求める法的手続きです。
たとえばアニメの本編を無断で投稿した場合、著作権者はまず動画の削除申請を行い、次に悪質性が高いと判断されればプロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求を行います。
削除で終わるパターンと賠償請求に至るパターンの違い
動画の削除だけで終わるケースは、投稿者が初犯であり、営利目的でなかった場合や、権利者が寛容な対応をとった場合です。
一方で、賠償請求や損害賠償請求に至るケースは、反復的な投稿や収益化、もしくは悪質と判断される行為があった場合に多く見られます。特にアニメのフル動画や映画の全編を投稿するような行為は、明確に違法とされる可能性が高いです。
実際に開示請求された後の流れ
- ①動画が削除される
- ②著作権者が開示請求を裁判所に申し立てる
- ③プロバイダが通知書を送付(意見照会書)
- ④投稿者が異議を申し立てない場合、開示される
- ⑤著作権者が損害賠償請求を提起する可能性あり
投稿者の住所・氏名などが開示されると、裁判外の請求書が届くこともあれば、民事訴訟を提起されることもあります。
悪質性の判断基準はどこにある?
悪質性の判断には複数の要素が関係します。
- 投稿頻度や継続性
- 営利目的かどうか(広告収入やフォロワー数増加狙い)
- 投稿内容の量と質(本編フル vs 一部切り抜き)
たとえばファンアートや短いネタ動画程度であれば、削除だけで済むこともありますが、著作物そのものを丸ごと使っている場合は、責任を問われる可能性が高くなります。
実際に賠償請求を受けた人の事例
近年ではYouTubeやニコニコ動画、そしてTikTokでも、アニメ会社や音楽レーベルから訴訟を受けたケースがあります。たとえば、ある動画投稿者は違法アップロードが発覚し、100万円以上の損害賠償を請求され、和解金として50万円を支払ったという例があります。
一方で、弁護士を通じて和解を試みた結果、警告だけで済んだというケースもあります。
まとめ:知らずに投稿していてもリスクはある
著作権侵害による開示請求は、他人事ではありません。SNSで動画を投稿する場合でも、その中身が権利者の著作物に該当するならば、法的措置の対象となり得ます。
- まずは投稿を控える・削除することがリスク回避の第一歩
- 開示請求を受けたら、必ず通知書に対応する
- 必要に応じて弁護士に相談を
「好きだから投稿した」では済まされない現実があることを理解し、安心してSNSを楽しむためにも、著作権に関する正しい知識を持つことが大切です。