信号のある交差点での事故は、誰が信号を守っていたかによって過失割合が大きく変わります。この記事では、赤信号無視の車と青信号で進行した車が衝突した場合、どのような過失割合になるのかを、判例・実務・注意点を交えて解説します。
基本原則:信号を守った方が圧倒的に有利
原則として、青信号で交差点に進入した車は過失がない、もしくはごく軽微です。一方で赤信号を無視して進入した車は、道路交通法第7条違反に該当し、重大な過失(ほぼ100%)とみなされます。
したがって、過失割合の初期設定は赤信号側:100%、青信号側:0%になることが多いです。
例外が生じるケースとは?
以下のような状況がある場合、青信号側にも一定の過失が認められる可能性があります。
- 青信号直後に発進し、明らかに赤無視車が交差点に突っ込んでくるのが見えたのに回避行動を取らなかった
- 前方不注視・わき見運転などがあった
- 交差点の見通しが非常に良く、危険を予見できたと判断される
このような場合、青信号側にも5〜10%の過失が加算されるケースがあります。
実例:裁判例での過失割合の傾向
東京地裁や大阪地裁の判例では、信号の遵守が確認されている限り、青信号側に過失を問わない傾向が一般的です。
ただし、ドライブレコーダーなどの映像により「安全確認不足」や「早すぎる発進」などが認定された場合は、1〜2割の過失が認定された例もあります。
任意保険における過失割合の査定
保険会社は「別冊判例タイムズ(通称:赤本)」などの基準に基づいて過失割合を算定します。青信号側で明らかな違反がなければ、ほとんどのケースで「過失ゼロ」または「1〜2割の過失」と評価されます。
ただし、交差点内の構造や信号の設置位置、見通し、双方の速度なども加味され、一律ではありません。
事故後の対応で注意すべきポイント
青信号での進行中でも、事故後は以下のような対応が重要です。
- ドライブレコーダーの記録を保全
- 警察に正確な状況を申告
- 相手方の信号違反の証言や証拠収集
これにより、自身の過失がゼロまたは軽微であることを証明しやすくなります。
まとめ
赤信号を無視した車と青信号で進んだ車の事故では、基本的に青信号側は無過失とされます。ただし、安全確認義務違反などがあれば、一部過失が認定される場合もあります。
事故に遭った場合は、現場記録・ドライブレコーダー・警察への通報を確実に行い、自身の正当性をしっかり主張できるよう備えることが大切です。