子どもを育てるうえで、父親の認知や養育費の支払いは大きな問題となることがあります。特に未婚の母が、相手男性に逃げられた場合、法的に父親の責任を追及できるのか、実際にどのような手段やハードルがあるのかを知っておくことはとても重要です。この記事では、DNA鑑定や裁判の現実的な課題、支援制度について詳しく解説します。
父親の認知と法的な意味とは
日本の法律では、婚外子の父親が子どもを「認知」しない限り、法律上の親子関係は成立しません。つまり、母親と子どもがどれだけ関係を主張しても、父親側が認知しなければ、法的には親子と見なされず、養育費の請求も難しくなります。
このため、父親に責任を果たさせるには、「認知請求」の裁判や調停を通じて、法的に認知させる必要があります。
DNA鑑定の役割と費用の実情
DNA鑑定は父子関係を科学的に証明するための手段で、民間での検査はおおよそ3万～10万円前後が相場です。家庭裁判所での鑑定となると、相手が同意しなければ裁判所命令が必要になり、さらに数ヶ月以上の時間がかかります。
加えて、相手が鑑定を拒否することもあり、その場合は別の証拠（交際履歴やメッセージなど）も総合的に判断されます。
認知請求訴訟と手続きの流れ
父親が認知に応じない場合、家庭裁判所に「認知請求訴訟」を起こすことが可能です。これは子ども自身（または代理人である母親）が行うことになります。判決で認知が認められれば、戸籍に父親が記載され、養育費の請求も可能になります。
ただし、この訴訟には証拠提出・調停・裁判と時間がかかり、精神的にも負担が大きくなることが少なくありません。
経済的負担を軽減する支援制度
母子家庭などを対象に、法的手続きをサポートする制度も用意されています。たとえば、[参照] 法テラスでは、収入に応じた無料法律相談や弁護士費用の立替制度があります。費用が心配な方はまず相談してみることをおすすめします。
また、自治体によっては、養育費確保支援や認知交渉の仲介などの支援事業もありますので、役所の母子支援窓口などに相談してみましょう。
現実には精神的・社会的ハードルも
法的には道があるとはいえ、現実には「父親と再度関わりたくない」「自分だけで育てた方が楽」と感じる人も多くいます。また、家庭内トラブルや暴力が背景にある場合、相手と関わること自体が危険なこともあります。
さらに、周囲からの偏見や「母親が責任を持つべき」といった空気が、法的手続きを断念させる一因にもなっています。
まとめ：制度と現実のギャップを正しく知ろう
シングルマザーが法的に父親に認知や養育費を求める道は、存在しています。しかし、DNA鑑定の費用、相手の拒否、裁判の精神的負担、社会的偏見など多くの壁が立ちはだかります。
そのため、一人で抱え込まず、法テラスや自治体の窓口などを活用しながら、現実的なステップを踏むことが重要です。情報を得ることで、自分にとって最善の道を選べるようになります。