SNSが日常に浸透する中で、些細な行動が法的トラブルや詐欺被害につながるケースが増えています。特に未成年や若年層は、ネット上のトラブル処理に不慣れなため、相手の言い分を鵜呑みにしてしまうことも。今回は、SNSでの不適切メッセージに対し「開示請求された」とされ、多額の金銭を要求された事例をもとに、違法性や対処方法、詐欺の見分け方を解説します。
「ちんとつ」は犯罪か?性加害的行為と捉えられる可能性
「ちんとつ(性器の画像送信)」は、相手が望んでいない場合、わいせつ図画送信罪や迷惑防止条例違反などに該当する可能性があります。特に相手が未成年であった場合、児童ポルノ関連法にも触れる可能性があるため、行為自体は重大な法的リスクを伴います。
しかし一方で、処分されるかどうかは被害届の提出有無や証拠の有無、捜査機関の判断次第です。相手が年齢不詳で、実害が不明な場合は、直ちに刑事事件化するとは限りません。
開示請求はすぐに行えるのか?実際の手続きと費用
「弁護士が開示請求をした」という主張には、現実的なタイムラインと費用が伴います。開示請求には、まずプロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求を行い、その後裁判所での手続きを経る必要があります。
一般的に、開示請求には数週間から数ヶ月を要し、すぐに住所などが開示されることはありません。さらに、40万円近い費用を即座に弁護士に支払うという主張もやや現実味に欠ける部分があります。
「50万円払えば取り下げる」は脅迫や恐喝に該当する可能性も
相手が「50万円を払えば取り下げる」「今すぐPayPayで送金しろ」「消費者金融で借りてこい」といった発言をしている場合、これは明確に脅迫または恐喝行為と判断される可能性があります。
たとえ最初の行為が違法だったとしても、それをネタに過大な金銭を請求し続ける行為自体が違法であり、場合によっては詐欺・恐喝未遂罪に問われる可能性があります。
18歳未満・未成年の場合は保護される立場にある
日本の民法では、18歳以上で成人と見なされますが、トラブル時の事情聴取や刑事手続きでは年齢や判断力が重視されます。さらに、高額の金銭を要求されて支払ってしまった場合、返還請求(不当利得)を主張できる可能性があります。
支払い済みの10万円についても、相手が弁護士でなく個人であれば、返還請求を検討できるでしょう。消費者センターや法テラスなど、公的な相談窓口への相談を強くおすすめします。
本当に弁護士が関与しているのか確認する方法
- 所属していると名乗った弁護士の名前・事務所を日本弁護士連合会のサイトで検索
- 内容証明が届いた場合は、発送元の名称や連絡先をチェック
- 「内容証明を職場に送る」といった脅し文句は詐欺の常套手段
これらを確認せずに支払いを続けると、悪質な詐欺グループに個人情報や送金先を渡す結果になります。
まとめ:すぐに支払いをやめて専門家に相談を
最初の行為に違法性がある可能性があるとはいえ、それを盾に脅迫まがいの金銭請求をされている場合は、すぐに弁護士・警察・消費者センターなどに相談しましょう。特に未成年者や学生である場合は、保護者や教育機関にも早めに事情を伝えてください。
ネットトラブルは、一人で抱え込まず、第三者に早く相談することで被害の拡大を防ぐことができます。絶対に、相手の言いなりになって追加の送金をしてはいけません。