殺人未遂から傷害罪へ──刑の格下げと不起訴・略式起訴の可能性をわかりやすく解説

刑事事件において「殺人未遂」で逮捕された被疑者が、その後「傷害罪」などに切り替えられることがあります。事件報道でよく見る展開ですが、罪名の変更によって処分がどう変わるのか、刑罰はどうなるのかなど、不安や疑問を感じる方も多いでしょう。本記事では、殺人未遂と傷害罪の違いや、刑が軽くなる場合の流れについて、具体例も交えて解説します。

殺人未遂と傷害罪の法律上の違い

殺人未遂は「人を殺そうとして実行に移したが、未遂に終わった行為」に該当し、刑法第199条・203条により「死刑、無期、または5年以上の懲役」に処せられます。一方、傷害罪(刑法第204条)は「人の身体を傷つける行為」に対して「15年以下の懲役、または50万円以下の罰金」が科されます。

つまり、殺意の有無が最大のポイントです。被害者の傷の程度よりも、「加害者に殺意があったか」が立件の核心になります。

殺人未遂から傷害罪へと格下げされるケース

取り調べや証拠調査の過程で、被疑者が「殺意まではなかった」と認定されると、殺人未遂から傷害罪へと罪名が切り替わることがあります。たとえば、被害者の傷が軽微だった場合や、加害者が過去に凶暴性を示していない場合などです。

実際、初犯であり精神的混乱や一時的衝動による事件と判断されれば、殺意の立証が難しくなる可能性もあります。

不起訴や略式起訴になることはあるのか?

傷害罪に格下げされた後、「不起訴」になるケースもあります。不起訴には以下の種類があります:

  • 嫌疑不十分:証拠が不十分で起訴できない
  • 起訴猶予:罪は認められるが情状を考慮して不起訴

特に初犯で、被害者と示談が成立していれば、検察は「起訴猶予」とすることがあります。これにより前科がつかず、社会復帰がしやすくなります。

また、罰金刑で済む略式起訴になることもあり、罰金の上限は50万円。被害者の傷の程度や示談の有無によっては10万円台で済むケースもあります。

逆に略式や不起訴にならない場合とは?

一方で、以下のような要因があると正式裁判(公判請求)に進むことが一般的です:

  • 被害者に重傷を負わせた
  • 被疑者に前科がある
  • 示談が成立していない
  • 反省の様子が見られない

この場合、執行猶予付きの懲役刑や実刑となる可能性があります。特に実刑判決になると、拘置所に収容されたまま判決を受け、そのまま刑務所に送致される流れになります。

実際の処分例:ケーススタディ

過去の実例では、「コンビニで女性に刃物を突きつけたが致命傷はなし」というケースで、殺人未遂から傷害罪に変更され、示談成立により起訴猶予となった例があります。

また別の例では、殺意が否定されなかったものの、深く反省し、被害者が寛容な対応をしたことで略式起訴となり、30万円の罰金で処分が完結したこともあります。

まとめ:事件後の対応と情状が処分を大きく左右する

殺人未遂で逮捕された場合でも、その後の取り調べや示談状況、加害者の反省態度などによって、傷害罪への格下げ、不起訴、略式起訴といった軽い処分に変わる可能性は十分にあります。

一方で、重大な結果が生じたり反省が見られない場合は、実刑や重い判決になることも。専門の弁護士に早期相談することが、適切な解決への近道です。

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