貸金業取扱主任者試験では、記録保存義務に関する出題が多く、特に顧客や保証人との契約に関する保存期間の違いは混乱しやすいポイントです。この記事では、試験問題で問われやすい「記録の保存期間」とその判断根拠について、具体例を交えてわかりやすく解説します。
顧客等に関する記録の保存義務とは
貸金業法では、貸付契約を締結した際、貸金業者は顧客ごとに以下の記録を作成・保存する義務があります。
- 契約年月日
- 資力に関する調査を行った日
- 提出書面の内容や調査結果
これらの記録は、法律により「契約日から3年間」保存する義務があります。ただし、契約終了時点であっても、期間満了までの保存が求められます。
保証契約の場合の保存期間の考え方
貸金業者が保証人(C)と保証契約を締結した場合、保証人に関する返済能力の調査記録は次のいずれか「早い日」まで保存する義務があります。
- ① 本件貸付契約に定められた最終返済期日
- ② 債務が弁済その他の理由により消滅した日
この「いずれか早い日」とされる理由は、貸金業法施行規則第16条の12に準拠しており、顧客等(この場合は保証人)の記録保存は、実際の債務が履行され終了した時点で必要性が消えるとされるためです。
なぜ「遅い日」ではなく「早い日」なのか?
設問②のように「遅い日」ではなく「早い日」が正解となる理由は、保証人の義務が債務の弁済によって消滅する可能性があるためです。たとえば、本件貸付契約の最終返済期日が2026年12月31日であっても、2025年に全額繰上返済された場合、保証人の債務もそこで消滅します。
その場合、記録の保存は「債務が消滅した日(2025年)」まででよく、「2026年」まで保持する必要はないというのが法の解釈です。したがって、「遅い日」ではなく「いずれか早い日」まで保存とされています。
「顧客等」の定義と混同しやすいポイント
貸金業法における「顧客等」には、契約者本人だけでなく保証人も含まれると定義されています。したがって、①の設問も保証人に該当しうることは正しい認識です。
ただし、保存義務の詳細や保存期間の規定については、契約の種類(貸付契約か保証契約か)や契約内容(終了時期や債務消滅の有無など)によって取り扱いが異なります。問題②のように、保証契約に基づく記録は「消滅または最終返済期日の早い日まで」という別の規定に従うため、混同しないように注意が必要です。
試験対策として意識すべきポイント
このような問題では、設問に登場する契約が「貸付契約」なのか「保証契約」なのかをまず明確にすることが重要です。そのうえで、保存記録の保存期限や定義を一つずつ整理して覚えると混乱しにくくなります。
また、過去問や模擬問題を通じて、「いずれか早い日」といった文言の選択肢の微妙な違いに敏感になることが、合格への鍵となります。
まとめ|「保存義務」は契約の種類と条文の読み解きが重要
貸金業取扱主任者試験では、記録保存に関する設問が出題頻度も高く、細かな言い回しで迷いやすいポイントです。特に「いずれか遅い日」「いずれか早い日」といった表現の正確な理解が問われるため、条文を正確に読み取り、事例ごとに適切な判断ができるよう準備しておきましょう。
保証契約と貸付契約の違い、保存期間の違いをしっかり押さえておけば、本番でも迷うことなく正答を選べるようになります。