最近、スーパーマーケットで以前まで目玉商品だったインスタントコーヒー「マキシム」が安く手に入らなくなり、代わりに「NESCAFE ゴールドブレンド」が特価販売されるようになったと感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、こうした変化の背景にあるインスタントコーヒー業界の現状と、市場で何が起きているのかをわかりやすく解説します。
マキシムの値上がりはなぜ起きた?
AGFが展開するマキシムシリーズの価格が上昇している背景には、コーヒー豆の高騰があります。2021年頃から続くブラジルやベトナムなど主要産地の異常気象により、収穫量が大幅に減少しました。その結果、アラビカ種・ロブスタ種ともに原材料価格が上昇し、メーカー各社は価格転嫁を余儀なくされています。
加えて、AGFは品質にこだわった製造工程やパッケージコストも抱えており、安売り施策を継続するのが難しくなったと推察されます。
NESCAFEが安くなったように見える理由
一方でネスレの「ゴールドブレンド」が比較的安価で提供されているのは、世界的なスケールでの調達力と、サステナブルなサプライチェーンを持つ強みが背景にあります。ネスレは自社農園支援や長期契約などにより、価格の変動リスクを最小限に抑える戦略を取っており、流通の安定化が実現しています。
また、ネスレは販促戦略として時期によって一部スーパーやドラッグストアと連携し、「目玉商品」として一時的に価格を下げるキャンペーンを行うことがあり、それが目立っているケースもあります。
店舗ごとの戦略による販売価格の差
同じ商品でも販売価格が大きく異なるのは、各店舗が独自に採用する「販促戦略」や「仕入れ価格」によるものです。例えば、カワチ薬品や業務スーパーのような低価格重視の店舗では、仕入れの大量契約やメーカーとの協業キャンペーンにより、期間限定で破格の値段を実現することがあります。
しかし、メーカーの出荷価格が上昇している今、こうした目玉特価を維持するのは難しくなってきており、商品の入れ替えや販促の見直しが進められているのが現状です。
インスタントコーヒー業界で起きている構造的変化
最近では、消費者の嗜好も「レギュラーコーヒー」「カフェインレス」「サステナブル認証付き製品」などへと多様化しており、インスタントコーヒーのみで競争力を保つのが難しくなってきています。
さらに、原材料費の高騰だけでなく、物流費・エネルギー費・パッケージ資材の高騰も重なり、業界全体が価格の見直しを迫られているのが実情です。
消費者としての賢い選択とは?
こうした状況の中で、お得にコーヒーを楽しむためには、セール情報を日常的にチェックしたり、複数店舗の価格を比較したりすることが効果的です。ドラッグストア系のポイント還元やアプリクーポンを活用するのもおすすめです。
また、Amazonや楽天などのネット通販では定期便を利用することで1回あたりの単価を抑えられるケースもあるため、日常的に飲む方は検討してみてもよいでしょう。
まとめ:価格の背景を理解して上手に選ぼう
インスタントコーヒーの価格変動は、単なるスーパーの販売戦略にとどまらず、原料調達・製造・販売のあらゆる段階でのコスト変化や業界のトレンドが関わっています。価格の裏にある背景を理解し、複数の選択肢を比較しながら、賢くコーヒーを選んでいきましょう。