洋服店での試着中に「値札に折れ目をつけてしまった」としても、ほとんどの場合、法的責任を問われるような事態には発展しません。とはいえ「器物損壊にあたるのでは?」と不安になる方も少なくありません。この記事では、試着時に起きがちな軽微な破損や店舗側の対応、法的観点からの見解をわかりやすく紹介します。
器物損壊罪の成立要件とは
刑法第261条の「器物損壊罪」は、他人の物を故意に壊すことで成立します。重要なのは「故意(わざと)」「原状回復が困難な損壊」「他人の所有物であること」です。
試着中の行為は基本的に購入検討の一環であり、店の許可のもとで服に触れているため、故意性がない場合には器物損壊罪には該当しません。
値札やタグが折れただけでは罪にならない
値札に折れ目がついたとしても、商品自体が使用不可能になるほどの損壊ではない限り、店舗側が「訴える」といった対応を取ることはまずありません。
むしろ、店側も試着によるある程度の摩耗は想定済みであり、タグや値札が折れる・取れる・少し汚れるといったケースは日常的に発生しています。
もし破損に気づいたらどう対応すべきか
万が一、タグが破れてしまった、外れてしまった、折れてしまったと気づいた場合は、すぐに店員へ報告するのが最も誠実で安全な行動です。
「すみません、試着の際に折れてしまいました」と一言伝えるだけで、ほとんどの店舗では問題にされることなく、丁寧に対応してくれます。
訴えられるケースはどんな場合?
店舗の物を明確に故意に壊したり、隠したり、持ち去ったりした場合は、器物損壊・窃盗といった刑事責任や損害賠償請求が発生する可能性があります。
例としては、試着中に明らかに故意にタグを引きちぎったり、持ち帰ったり、再販売不可能なほど汚損したりした場合です。こうしたケースは店舗側の監視カメラや目撃証言が残ると厳しく扱われることもあります。
実例:過剰に心配していたケース
ある学生が試着中にズボンのタグを強く折ってしまい、「訴えられるのでは?」と不安になり、店に戻って謝罪したケースがありました。しかし、店側は「気にしないでください」とそのまま対応。何の請求も受けず、逆に丁寧な姿勢が評価されました。
このように、誠実な行動を取ることがトラブル回避の最大のポイントになります。
まとめ
試着中に値札に折れ目をつけてしまったとしても、器物損壊罪や損害賠償が発生するケースはほとんどありません。特に故意でない場合や商品自体に重大な損傷がない限り、訴えられるようなリスクは低いです。
不安な場合は、すぐに店員へ状況を伝え、誠実に対応することが最も大切です。それにより、不要なトラブルや誤解を避けることができます。