飲食店や販売店でのアルバイト中、食品の取り扱いミスは誰にでも起こり得るものです。とくに消費期限や賞味期限の取り違いは、重大なトラブルに発展することもあります。本記事では、日付の貼り間違いやシールミスによって商品を誤って提供してしまった場合に、従業員個人が法的責任を負う可能性があるのかを解説します。
消費期限と賞味期限の違いを正しく理解しよう
まずは基本として、「消費期限」と「賞味期限」の違いをおさらいしましょう。
- 消費期限：過ぎたら食べない方が良いとされる「安全性」の期限。弁当・洋菓子など日持ちしない商品に多く表示。
- 賞味期限：おいしく食べられる目安の期限。過ぎてもすぐに害が出るわけではない。
今回のように「消費期限を正しく見ずに商品を渡してしまった」ケースは、安全面に直結するため、注意が必要です。
従業員が法的責任を問われる可能性は？
結論から言えば、故意ではない単純なミスであれば、基本的に従業員個人が刑事責任や損害賠償責任を問われることはほとんどありません。
企業内で起こる過失は、雇用契約に基づき「使用者責任（民法715条）」として会社が原則的に責任を負います。ただし、重過失や故意がある場合には個人責任が問われる可能性もあります。
実際の処分や対応はどうなる？
多くの場合、社内規定やマニュアルに違反したことを理由に、口頭注意・始末書提出・再発防止研修などの内部処分が行われるに留まります。
消費者に健康被害などが発生した場合は、会社として謝罪や返金、場合によっては行政指導を受けることがありますが、現場従業員が警察に逮捕されたり損害賠償を求められることは極めて稀です。
損害賠償を個人に請求される可能性は？
理論的には、民法709条（不法行為）に基づいて損害賠償請求が可能ではありますが、実務ではよほど重大な過失や営業妨害を意図した悪質な行動でなければ請求されません。
たとえば「期限切れ商品を意図的に陳列した」「何度も同じミスを繰り返した」など、明らかに職務を逸脱していると判断されるケースに限られます。
今後同じミスを防ぐには？
以下のような工夫で再発を防ぐことができます。
- 消費期限は「実際の期限」と「シール日付」をダブルチェック
- 商品を手に取ったらまずラベルを読み上げる習慣をつける
- 不安があれば上司や社員に確認を取る
- 同様のミスが起きた事例を他のスタッフとも共有する
また、慣れてくると確認が甘くなりがちなので、「自分だけは大丈夫」と思わず、常に確認作業を徹底しましょう。
まとめ：単純ミスで法的責任を問われることは原則なし。冷静な対応を
消費期限の確認ミスで商品を誤って提供してしまっても、重大な過失や故意がない限り、アルバイトなどの現場従業員が刑罰や損害賠償を負うことはまずありません。
大切なのは冷静に報告し、再発防止に向けて真摯に取り組む姿勢です。自分だけを責めすぎず、社内での共有や教育を通じて安全な職場環境を作っていきましょう。