交通事故後に警察から精神的な適性について書類提出を求められるケースはまれにあります。特に事故時にパニック状態であった場合、「運転適性に問題がないか」の確認のために、精神科や心療内科の診断書を求められることがあります。本記事ではその背景や対応方法、病院予約のコツについて解説します。
警察からの精神鑑定要請はなぜあるのか?
事故後の様子によっては、警察が「このまま運転を続けさせてよいか?」という視点で、精神面の健康状態を確認したいと考えることがあります。これは本人や周囲を守るための安全確認でもあり、すぐに「処分」へつながるというものではありません。
多くの場合は、専門医による「現在は問題なし」という内容の診断書があれば十分です。そのため、過度に不安になる必要はありません。
精神科・心療内科に断られる理由とは
診療内科や精神科は初診の予約が非常に取りにくく、さらに事故後の「警察提出用診断書」を求められることに消極的な医師も少なくありません。その理由として、
- 診断の根拠が限られている
- 法的・責任的な重みがある書類提出を避けたい
- 継続診察なしでは診断書を出したくない
といった背景があります。飛び込みの予約では断られがちなため、事前の準備や伝え方が重要です。
予約を取る際のポイントと伝え方
精神科の予約時に、単に「事故後に精神鑑定を求められていて…」と伝えると断られやすいです。以下のように伝えると、比較的受け入れられる可能性が高まります。
「交通事故後に一時的にパニック状態になりましたが、現在は落ち着いています。警察から、念のため現在の精神状態について医師の所見を提出するよう指示されており、診察をお願いできないでしょうか?」
また、予約が取りにくい都市部では以下の対策も有効です。
- 「自立支援医療」や「精神保健センター」に相談
- 地方の小規模クリニックに電話する
- 心療内科よりも精神科医が在籍している医療機関を優先
病院が見つからないときの次の選択肢
どうしても受診先が見つからない場合は、以下の機関への相談も検討しましょう。
- 都道府県の精神保健福祉センター:医療機関紹介や生活支援の相談が可能
- 地域包括支援センター:地域医療の相談窓口としても機能
- 消費生活センターや無料法律相談:行政手続き上の助言
一方、警察には「現状の病院の予約が非常に困難で、○月○日に初診予約が取れた」など、時系列を明確に説明することが大切です。
提出書類に必要な情報とは?
警察に提出する書類に求められるのは、診療を通じて「運転に支障がある精神疾患がない」との確認です。診断書には、
- 通院日と医師名
- 疾患の有無(診断名がない場合は「精神的な異常は認められません」等の所見)
- 現時点での運転適性に関する意見
が記載されれば十分なことが多いです。診断書の形式については警察から明示される場合もあります。
まとめ:焦らず、順を追って冷静に対応を
事故後の精神鑑定提出は、意外にも多くの家庭が経験するものであり、特別な異常があるという前提ではありません。重要なのは、今の状況を正確に伝え、警察にも粘り強く現状を報告しながら、医療機関を探すことです。
「診てもらえない」「提出しないと処分される」といった不安に押しつぶされそうになるかもしれませんが、落ち着いてひとつずつ対処していけば、必ず道は開けます。
万一どうしても対応が難しい場合は、地域の行政機関・法律相談を頼るのも選択肢のひとつです。