厚生労働省が進めるハラスメント対策の強化とは、パワハラやセクハラだけでなく、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」など新たな類型にも法的義務が広がっており、モラハラや中傷的な言動の取り扱いも強化が進められています。
法改正で明文化されたカスハラの対象
2025年6月成立の改正「労働施策総合推進法」は、顧客等からの社会通念上相当範囲を超えた言動で、就業環境を害する場合などをカスハラとして定義し、事業主に防止措置を義務付けました。([turn0search3]turn0search10)
これによりカスハラ対策が法人に義務化され、企業は相談対応や研修、記録体制の整備が求められます。([turn0search6]turn0search14)
モラハラや中傷(いわゆるモラハラ・カスハラ)は法的に認定される?
改正法が明示するのはパワハラ、セクハラ、マタハラ、カスハラの四類型ですが、“個人に対する精神的中傷・侮辱など”もパワハラの精神的攻撃の範疇として含まれる可能性があります。([turn0search17]turn0search7)
つまり、職場環境で「人格否定」「侮辱的な言動」が繰り返されれば、法的保護対象となり得ます。
中傷行為が対象となる条件とは
- ①優越的な関係が背景にある
- ②言動が業務上必要かつ相当な範囲を超えている
- ③被害者の就業環境が侵害されている
これら3要素を満たす場合、たとえ形式的な契約関係がなくとも、企業には対応・是正義務が生じます。([turn0search17]turn0search2)
企業に求められる具体的対応
パワハラやカスハラなどが発生した場合、企業は相談窓口の設置・研修の実施・対応記録の管理などを行う義務があります。([turn0search17]turn0search11)
さらに、相談者への不利益取り扱いを禁止する規定も盛り込まれており、違反時には行政指導や情報公表などの措置がとられます。([turn0search2]turn0search17)
今後の法整備と包括的な理念の明記
2024年11月以降、厚労省は「全てのハラスメントは許されない」という理念を法律に明記する方向で法改正を検討しており、今後さらに広い領域を規制対象とする動きがあります。([turn0search9])
いわゆる“モラハラ”のような職場外の中傷・人格否定的行為も、理念として包括的に扱われる可能性が高まっています。
まとめ:モラハラ・カスハラなども今後は法的対応の対象へ
改正法では、業務関係や顧客対応に関する言動で、職場環境を害する行為を包括的に扱う方向になっており、モラハラやカスハラといった精神的中傷も法制的に強化されつつあります。
現行では明確化が進んでいるものの、今後の指針や条例整備により、より包括的なハラスメント対策が企業に義務付けられる可能性があります。