抜釘手術後の療養期間は医師の判断に大きく依存しますが、患者自身の症状や日常生活への影響も見逃せません。特に仕事への復帰が困難な状態であれば、傷病手当金の申請が検討されるケースが多くあります。この記事では、「処置は終了」と告げられたものの、症状が残る場合における傷病手当金の対象期間や注意点について解説します。
「これで終わりです」の医師の意図とは?
医師の「これで終わりです」という言葉には、通常は「手術や抜糸などの処置が完了した」という意味が含まれます。これは「完治」や「就労可能」という判断とは必ずしも一致しません。
たとえば、外科的処置が終わっても痛み・むくみ・歩行困難などの後遺症がある場合、就労には支障があると判断される可能性があります。したがって、次回診察時に「現在の症状では仕事ができない」旨を正確に伝え、医師の診断書に明記してもらうことが重要です。
傷病手当金の支給対象となる条件
傷病手当金は、健康保険の被保険者が「病気やけがの療養のために働けない場合」に支給されます。以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 業務外の傷病による療養
- 労務不能であると医師が認める
- 連続する3日間の待期期間を経て4日目以降の休業
- 給与の支払いがない、または減額されている
抜釘手術後の安静や歩行困難で労務不能と認められれば、手術後の休職期間も傷病手当金の支給対象となる可能性があります。
診断書がまだ出ていない期間はどう扱われる?
ご質問のように、「診断前の8日間」についても休業していた場合、医師がさかのぼって「その期間も就労不能だった」と診断書に記載すれば、支給対象となる可能性があります。
たとえば、次回の診察で「〇月〇日から〇月〇日までの間、痛みやむくみにより通常業務は困難だった」と書かれれば、その期間を含めて申請が可能です。ただし、医師が認めない場合は支給されないため、必ず症状の具体性や困難な業務内容を伝えてください。
社労士や健康保険組合への相談も有効
書類の準備や申請方法に不安がある場合は、社会保険労務士(社労士)や勤務先の健康保険組合へ相談するのが有効です。
社労士には、「労務不能証明の書き方」や「復職判断の目安」について相談できます。また、保険組合では、申請期限や必要書類、審査期間などの具体的なフローを確認できます。
実際に申請する際の注意点
傷病手当金の申請には、以下のような書類が必要です。
- 傷病手当金支給申請書
- 医師の意見欄(就労不能期間を含めた診断)
- 会社の証明(出勤簿・賃金台帳など)
特に医師の意見欄は審査上非常に重要で、「〇月〇日以降も通常業務は不可能」と明記されているかが判断材料になります。
まとめ:医師の判断が鍵、積極的に状況を伝えよう
抜釘手術後の「これで終わりです」は処置の終了であって、完治とは限りません。階段の昇降困難やむくみがある状態で働けないなら、医師にその状況を詳細に伝え、診断書に明記してもらうことが大切です。
傷病手当金は労務不能の証明がある限り、診断前の期間も支給対象となる可能性があります。焦らずに、社労士や保険組合と連携しながら申請を進めましょう。