GPSタグを他人の持ち物に無断で設置するのは違法?プライバシーと法律の観点から解説

現代のテクノロジーの進化により、小型GPSタグを使って人や物の位置情報を簡単に把握できる時代になりました。しかし、それが必ずしも合法とは限りません。特に「本人に無断で」GPSタグを取り付けた場合、重大な法的リスクを伴う可能性があります。この記事では、他人の車やカバンに無断でGPSタグを設置した場合に考えられる違法性や、実際の法律・判例に基づいたリスクについて解説します。

GPSタグの取り付けが違法になるケースとは?

GPSタグの取り付け自体が違法なのではなく、「本人の同意なしに取り付けること」が法的に問題となります。特に、その対象が他人の車やカバンなど私有物である場合は、プライバシー権の侵害が成立する可能性があります。

日本の刑法や民法では、プライバシーの侵害やストーカー行為、迷惑防止条例などによって罰せられる可能性があり、悪質なケースでは刑事事件として立件されることもあります。

適用されうる法律と罰則

  • ストーカー規制法:GPSを用いた位置情報の取得は「つきまとい行為」に該当する可能性があり、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金の対象となります。
  • 迷惑防止条例:各都道府県の条例により、GPSによる位置追跡が処罰の対象になることがあります。
  • 民事訴訟:プライバシーの侵害を理由に、損害賠償請求を受けるケースもあります。

たとえば、東京都迷惑防止条例では「GPS機器を使用して位置を把握する行為」は、令和2年の改正で明確に禁止対象に加えられています。

実際に起きた事例

2021年には、元交際相手の車に無断でGPSを取り付けて位置を追跡していた男性が、ストーカー規制法違反で逮捕されるという事件がありました。この事件では、被害者が位置情報から監視されていることに気づき、警察に通報したことで発覚しました。

また、民事訴訟に発展したケースでは、精神的苦痛に対して数十万円の慰謝料が認められた例もあります。

相手が「女友達」の場合でも違法性は変わらない

関係性が「恋人」「配偶者」「友人」であっても、本人の同意なしに追跡することは違法です。特に親密な関係であっても、プライバシーの権利は独立しており、第三者が干渉することは原則として許されません。

「心配だから」「行動を確認したい」という理由であっても、法律は感情ではなく行為を基準に判断されるため、違法性は否定できません

GPSを使いたい場合の適法な方法とは?

GPSタグを正当に使うには、設置する前に必ず本人の明確な同意を得ることが必須です。例えば、家族の高齢者の見守りや、子どもの安全確保など、正当な目的がある場合でも、本人または保護者の同意が必要です。

同意を文書やLINEなど記録に残る形で取得しておくことで、後々のトラブル防止にもなります。

まとめ:GPSの無断設置は違法リスクが高い

GPSタグの便利さに頼るあまり、他人のプライバシーを侵害することは決して許されません。女友達や身近な人であっても、本人に無断で設置すれば法律違反となる可能性が高く、刑事罰や損害賠償の対象となるリスクを伴います。

位置情報を活用する際は、必ず同意を得て、適法かつ倫理的に行動するようにしましょう。

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