交通事故に遭った際、自賠責保険から保険金が支払われる制度がありますが、実際に請求し受け取った経験がある人の声は少なく感じるかもしれません。この記事では、実例を交えながら、自賠責保険の請求方法や支払いの流れ、注意点をわかりやすく解説します。
自賠責保険とは何か?
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、すべての自動車とバイクに加入が義務づけられている強制保険です。主に「対人賠償」をカバーしており、被害者が最低限の補償を受けられる仕組みです。
補償対象は、治療費・慰謝料・通院交通費・休業損害・後遺障害・死亡慰謝料などで、支払い上限額も法律で定められています(例:傷害120万円、後遺障害最大4000万円など)。
実際に支払われた事例
事例①:追突事故によるむち打ち
信号待ち中に追突され、首と腰を負傷。病院での通院治療が3ヶ月続き、治療費・通院慰謝料・交通費などで約70万円が自賠責保険から支払われた。加害者が任意保険に未加入だったが、加害者側の自賠責から被害者請求を行い支払いが完了。
事例②:バイクとの接触事故で骨折
横断歩道を歩行中にバイクと接触し骨折。入院1ヶ月、通院4ヶ月、後遺障害等級14級が認定され、最終的に約140万円が自賠責から支払われた。
自賠責保険金の請求方法
自賠責保険から保険金を受け取るには、大きく分けて2つの方法があります。
- 加害者請求:加害者が自ら保険会社に請求する方法
- 被害者請求:被害者が直接、加害者の加入する自賠責保険会社へ請求する方法
後者の被害者請求は、加害者側の対応が遅い・任意保険に未加入などのトラブル時に有効です。請求には医療明細書や診断書、事故証明書などの提出が必要で、提出から約1ヶ月程度で振込されるケースが多いです。
受け取れる金額と内訳の目安
自賠責保険から支払われる代表的な項目とその上限金額は以下のとおりです。
項目 | 上限金額 |
---|---|
傷害(治療費・慰謝料など) | 120万円 |
後遺障害(1〜14級) | 最大4000万円 |
死亡(葬儀費用含む) | 3000万円 |
なお、任意保険と重複して受け取ることはできませんので、実費の差額や上乗せ補償を別途申請する必要があります。
請求時の注意点とアドバイス
・診断書や領収書は必ず保管し、コピーも取っておく
・事故証明書は警察で発行してもらう
・示談書を作成する前に保険の請求を終える(示談後は請求不可になることも)
・後遺障害等級の認定は専門機関で慎重に行われる
また、わからない点があれば、自賠責保険広報事務所や、保険会社の相談窓口を活用することをおすすめします。
まとめ:自賠責保険の補償は実際に支払われる、正しい知識で請求を
交通事故に遭った際、自賠責保険の存在を正しく理解し、必要な書類を揃えて請求すれば、保険金を受け取ることは十分可能です。実例からもわかるように、過失割合や加害者の状況にかかわらず、自分の権利を主張することが大切です。
事故直後から記録や書類を整えておけば、スムーズな支払いにつながります。ぜひ備えておきましょう。