民法900条4号における兄弟姉妹の相続分の規定と14条違憲問題について解説

民法900条4号では、直系尊属や兄弟姉妹が数人いる場合の相続分について規定されていますが、その中には「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹」の相続分についても触れています。この記事では、この規定がどのような意味を持ち、実際にどのように適用されるのか、また憲法14条に違憲の可能性があるかどうかを解説します。

民法900条4号の規定とは?

民法900条4号では、相続に関する規定が定められています。特に注目すべきは、「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする」という部分です。これにより、同じ親を持つ兄弟姉妹が数人いる場合、異母兄弟や異父兄弟といった兄弟姉妹の相続分が差別化されています。

この規定の背景には、同じ親を共有する兄弟姉妹の間で相続分を平等にする一方で、異母兄弟姉妹や異父兄弟姉妹の間には血縁関係に違いがあるという立場が反映されています。

「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹」とは?

「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹」とは、片方の親が異なる兄弟姉妹を指します。例えば、父親が異なるが母親が同じ兄弟姉妹(異父兄弟姉妹)や、母親が異なるが父親が同じ兄弟姉妹(異母兄弟姉妹)などがこれに該当します。

このような兄弟姉妹の場合、法律上は同じ親を持つ兄弟姉妹とは血縁関係の深さに違いがあるとみなされ、そのため相続分が二分の一に調整されることになります。

相続分における平等性の問題

民法900条4号の規定が設けられた背景には、兄弟姉妹間で公平な相続分を保障する意図があります。しかし、この規定が平等性の観点から問題視されることがあります。特に、異母兄弟姉妹や異父兄弟姉妹が相続する分が少ないことは、不平等と感じる人も多いでしょう。

こうした相続分の差別化が憲法14条(平等の原則)に違反するのではないかという議論が存在します。憲法14条では、法の下での平等が保障されており、この規定が人々の平等を不当に侵害するのではないかという問題提起がされています。

憲法14条違憲問題とは?

憲法14条は平等の原則を定めており、すべての市民が法の下で平等であることを保障しています。民法900条4号の規定が憲法14条に違反するのではないかという問題は、異母兄弟姉妹や異父兄弟姉妹に対する差別的な取り扱いが憲法に反する可能性があるからです。

実際に、憲法違憲を訴える声もありますが、現時点では民法900条4号は有効とされています。これは、法律上、親が異なる兄弟姉妹には相続分に差をつけることが認められているからです。ただし、憲法改正や判例が変わることで、将来的にはこの規定が見直される可能性も考えられます。

実例:異母兄弟姉妹の相続分

具体的な例として、ある遺産相続を挙げてみましょう。父親と母親の両方を共有する兄弟姉妹が3人、父親だけを共有する異母兄弟姉妹が1人、母親だけを共有する異母兄弟姉妹が1人だとします。

この場合、民法900条4号の規定により、異母兄弟姉妹の相続分は、父母両方を同じくする兄弟姉妹の相続分の半分となります。つまり、同じ親を共有する兄弟姉妹の相続分がそれぞれ1/5ずつであれば、異母兄弟姉妹はそれぞれ1/10の相続分を受け取ることになります。

まとめ:民法900条4号の規定と憲法14条

民法900条4号の規定では、兄弟姉妹の相続分を父母を共有する兄弟姉妹とそうでない兄弟姉妹で分けることになっています。これにより、異母兄弟姉妹や異父兄弟姉妹の相続分は減少します。

この差別化が憲法14条に違憲であるかどうかについては、現在のところその適法性が認められていますが、今後の法改正や裁判所の判決により変更される可能性もあります。相続に関する法的な取り決めは、個々のケースにおいて非常に重要であり、専門家のアドバイスを受けることが勧められます。

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