司法書士試験において、普通養子縁組に関する問題は頻出です。特に未成年者の養子縁組における「同意」と「代諾」の違いを正確に理解することが重要です。本記事では、平成22年司法書士試験20問イの問題をもとに、民法797条の解釈と実務上のポイントを解説します。
問題の趣旨と正誤判断
問題文では、未成年者を養子とするにはその父母の同意が必要であるとしています。しかし、これは誤りとされています。その理由は、民法797条第1項において、養子となる者が15歳未満の場合は「法定代理人がこれに代わって縁組の承諾をする」と規定されており、「同意」という概念とは異なるからです。
「同意」と「代諾」の違い
民法において、以下の点が区別されます。
- 同意(承諾):本人が自ら意思を示し、一定の行為を認めること。例えば、成年者が養子縁組をする場合は、当事者双方が自由意思で承諾を行います。
- 代諾:本人が意思能力を十分に持たない場合、法定代理人が本人に代わって意思決定を行うこと。未成年者が養子となる場合、親権者や未成年後見人が代わって承諾を行います。
成年被後見人の養子縁組と同意の必要性
成年被後見人を養子とする場合、問題文では「その成年後見人の同意を得る必要はない」とされています。これも誤りです。民法797条2項では「成年被後見人が養子となるには、家庭裁判所の許可を得なければならない」と定められており、成年後見人が承諾する権限はありません。したがって、同意が不要というよりも、家庭裁判所の判断が優先されるという点が重要です。
実務上のポイント
司法書士業務において、養子縁組の手続きをサポートする際には以下の点を押さえる必要があります。
- 未成年者の養子縁組には、法定代理人(親権者または未成年後見人)が代諾する。
- 成年被後見人が養子となるには、成年後見人の同意ではなく家庭裁判所の許可が必要。
- 養子縁組届の受理の際、必要書類の確認を徹底する(戸籍謄本、法定代理人の同意書など)。
まとめ
司法書士試験において、養子縁組の手続きに関する問題は細かい文言の違いが問われることが多いため、法律の条文を正確に理解することが不可欠です。本記事で解説した「同意」と「代諾」の違いを押さえ、試験対策や実務に役立ててください。