轢き逃げ加害者の供述「人だとは思わなかった」は減刑に影響するのか?

轢き逃げ事故の加害者が逮捕時に「何かにぶつかったのは分かったが、人だとは思わなかった」と供述するケースがよく報道されます。このような供述は、刑事裁判においてどのように扱われるのでしょうか?本記事では、供述の影響や法律的な観点から解説します。

轢き逃げ事故における法的責任

日本の法律では、轢き逃げ(ひき逃げ)は道路交通法違反および刑法上の過失運転致死傷罪に該当する可能性があります。

  • 道路交通法第72条1項:事故を起こした場合、運転者は直ちに救護措置を取る義務がある。
  • 刑法第211条(過失運転致死傷罪):自動車の運転により人を死傷させた場合、罰則が適用される。

この義務を怠り逃走した場合、「救護義務違反」として厳しい処罰が科されることになります。

「人だとは思わなかった」という供述の影響

「何かにぶつかったことは認識していたが、人とは思わなかった」との供述は、裁判においていくつかの形で評価されます。

  • 故意の有無:加害者が「人とは思わなかった」と主張することで、「事故後に故意に逃げたのではない」という弁解につながる可能性がある。
  • 責任の軽減:事故の重大性や供述の信憑性によっては、過失の度合いが考慮されることがある。
  • 信憑性の問題:しかし、車両の大きさや衝撃の強さなどから、裁判官が「本当に気付かなかったのか」を判断する。

多くの事例では、「気付かなかった」という供述は信用されにくいです。人を轢いた際の衝撃は通常の物体とは異なり、車両の挙動や音の違いから認識できると判断されることが多いためです。

供述の仕方で刑の重さが変わるのか?

裁判において、供述内容は判決に影響を与える要素の一つです。しかし、実際に減刑につながるかどうかは以下の要因が重要です。

  • 事故直後の対応:救護義務を果たしていない場合、悪質性が高まり厳罰化しやすい。
  • 被害者の死亡・重傷の有無:結果が重大であるほど、刑が重くなる傾向にある。
  • 加害者の反省の態度:素直に事実を認め、被害者への謝罪を行うことで情状酌量の余地が生まれる。

一般的には、「正直に全て認めた方が情状酌量に有利」と言われています。特に、被害者に対する謝罪や賠償の意思を示すことが、判決に大きく影響することが多いです。

実際の裁判例から見る影響

過去の轢き逃げ裁判では、以下のような判決が下されています。

供述内容 判決
「人とは思わなかった」 救護義務違反が認められ、厳罰化(懲役3年以上)
「パニックになり逃げた」 一部情状酌量が認められたが有罪(執行猶予付き)
「すぐに警察に通報し対応した」 情状酌量が認められ罰金刑

このように、供述内容や事故後の対応によって、判決が変わるケースがあります。

まとめ

轢き逃げ事故において、「人とは思わなかった」という供述が裁判で通用するかどうかは、状況によります。しかし、多くの事例では供述が信用されず、厳罰が科される傾向にあります。また、事故後の対応が重要な要素となり、誠実な態度を示すことが情状酌量のカギとなるでしょう。

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