少年犯罪に対する処遇には、少年院と少年刑務所の2つがあります。しかし、それぞれの違いや、どちらの方が「罪が重い」とされるのかについて、詳しく知らない人も多いのではないでしょうか?
少年院とは?
少年院は、20歳未満の少年に対して更生教育を行う施設であり、主に家庭裁判所の審判によって送致されます。
以下のような少年が対象になります。
- 14歳以上20歳未満で、刑事罰に相当する行為を行ったが、教育による更生が望ましいと判断された者
- 刑事処分を受けるほどではないが、改善指導が必要と判断された者
少年院はあくまで「教育と更生を目的とした施設」であり、刑罰を科すための場所ではありません。そのため、犯罪歴がない少年でも、非行傾向があると判断されれば収容されることがあります。
少年刑務所とは?
少年刑務所は、刑法上の刑罰を科された20歳未満の受刑者が収容される場所です。刑事裁判によって有罪判決を受けた者が対象となります。
以下のようなケースが該当します。
- 16歳以上で重大な犯罪を犯し、刑務所行きの判決を受けた者
- 家庭裁判所から刑事処分相当と判断され、成人と同様に刑務所で服役することになった者
少年刑務所では、成人の刑務所と同じく懲役刑が科されるため、罪に対する罰則としての側面が強い施設です。
罪の重さで比較すると?
少年院と少年刑務所を比較すると、少年刑務所の方が罪が重い場合に適用されるといえます。
その理由は以下の通りです。
- 少年院 → 更生と教育が目的
- 少年刑務所 → 刑罰が科される場所
たとえば、強盗や殺人などの重大犯罪を犯した場合、家庭裁判所を経て刑事裁判に移行し、少年刑務所で刑に服することが一般的です。一方、万引きや暴走行為などの比較的軽い犯罪や、社会復帰が見込まれる場合には、少年院で更生教育を受けることになります。
少年院と少年刑務所の生活の違い
施設内での生活についても、次のような違いがあります。
項目 | 少年院 | 少年刑務所 |
---|---|---|
目的 | 更生教育 | 刑罰の執行 |
対象 | 14~20歳未満の非行少年 | 16~20歳未満の有罪判決を受けた者 |
生活 | 学校のような教育中心 | 規律の厳しい刑務所生活 |
刑の長さ | 状況に応じて短縮あり | 裁判で決められた期間 |
まとめ
少年院と少年刑務所の違いを整理すると、以下のようになります。
- 少年院は更生のための施設であり、刑罰ではない
- 少年刑務所は刑罰を受ける施設であり、罪が重い者が収容される
- 生活環境も大きく異なり、少年院は学校のような環境、少年刑務所は刑務所に近い
したがって、少年刑務所の方が罪が重い人が行く施設といえるでしょう。