不同意性交事件において、被疑者が「同意があった」と主張している場合、虚偽告訴罪で逆告訴することは可能なのでしょうか? また、なぜ多くの被疑者がそのような対策を取らないのかについても疑問を持つ方がいるでしょう。この記事では、虚偽告訴罪に関する法律やその現実の適用について解説し、被疑者が逆告訴を行わない理由についても考察します。
虚偽告訴罪とは
虚偽告訴罪は、刑法第172条に規定されています。虚偽の事実を作り上げ、それを元に他人を犯罪者として告発する行為は、厳しく処罰されます。特に、故意に事実を捏造し、警察や検察などに誤った情報を提供した場合に適用される犯罪です。
この罪が成立するためには、告発者が故意に虚偽の事実を主張している必要があります。そのため、不同意性交に関する訴えが「同意があった」と主張される場合、相手側が意図的に虚偽の告訴を行っていたかどうかが重要な争点となります。
逆告訴が困難な理由
虚偽告訴で逆告訴することは理論的には可能ですが、実際には非常に難しいケースが多いです。その理由の一つは、告訴者が本当に虚偽を意図していたかどうかを立証することが困難である点です。告訴者が「不同意だった」と信じていた場合、それが真実かどうかは捜査を通じて解明されますが、虚偽告訴罪を立証するのは別の難しさがあります。
さらに、警察や検察が事件を捜査する段階で、被疑者が虚偽告訴の疑いで逆告訴を行うことは、捜査の妨げになる可能性があります。被疑者側が早急に逆告訴を試みると、捜査当局からの協力が得られにくくなる可能性があり、こうした点も多くの被疑者が慎重に対応する理由となっています。
不同意性交事件の捜査と判断基準
不同意性交事件では、被害者と加害者の言い分が大きく異なる場合がほとんどです。警察や検察は、客観的な証拠や証言を元に事実を判断し、被害者の証言だけでなく、様々な角度から事件を調査します。被疑者が「同意があった」と主張しても、それが立証されるためには証拠や証言が必要です。
虚偽告訴の訴えを起こすためには、明確な虚偽の意図があったことを証明する必要があるため、これもまた逆告訴を難しくする要因の一つです。捜査当局がまず不同意性交の事実関係を解明することに重きを置くため、虚偽告訴に関する主張は後回しになることが多いのです。
なぜ逆告訴が少ないのか
被疑者が逆告訴を行わない理由は、上記の通り立証の困難さや捜査の進行の問題に加え、心理的な要因も考えられます。事件に巻き込まれている間、被疑者は自身の無実を証明することに全力を尽くす必要があり、同時に相手を告訴する余裕がないことが多いのです。また、虚偽告訴を立証できなかった場合、逆に被疑者自身の立場が悪化するリスクも存在します。
さらに、逆告訴を行うこと自体が訴訟や捜査の長期化を招く可能性があり、被疑者はそのリスクを回避したいと考える場合もあります。
まとめ
虚偽告訴で逆告訴することは可能ですが、立証の難しさや捜査当局との協力関係、さらには心理的要因から多くの被疑者は慎重な対応を取っています。不同意性交事件では、まずは事実関係を解明し、適切な証拠を基に無実を証明することが優先されるため、逆告訴は稀なケースとなっています。