交通事故後に首や肩、腕の痛み、手のしびれなどが出てMRI検査を受けた結果、「変形性頚椎症」と診断されるケースがあります。しかし、事故前には症状がなかった場合、「これは事故によるものなのか」「保険会社から治療費を打ち切られないか」と不安になる方も少なくありません。
この記事では、交通事故後に変形性頚椎症と診断された場合の考え方や、事故との因果関係、保険会社との対応で注意すべきポイントについて解説します。
変形性頚椎症とはどのような病気なのか
変形性頚椎症とは、首の骨である頚椎や椎間板が加齢や長年の負担によって変化し、神経や脊髄周辺に影響を与える状態を指します。
MRIでは、骨の変形や椎間板の変化などが見つかることがあります。そのため、画像だけを見ると「以前から存在していた変化」と判断されることもあります。
ただし、画像上の変化があることと、現在出ている痛みやしびれの原因が必ず同じであるとは限りません。事故による強い衝撃をきっかけに、それまで無症状だった状態が悪化することもあります。
事故前に症状がなかった場合はどのように考えるのか
交通事故による怪我では、事故前から存在していた身体の変化と、事故によって発生した症状を分けて考える必要があります。
例えば、30代や40代でMRI上の軽度な変形が見つかることは珍しくありません。しかし、事故前は普通に生活していて痛みやしびれがなかった場合、事故による衝撃が症状発生のきっかけになった可能性があります。
具体的には、事故前は育児や仕事を問題なく行えていたものの、追突事故後から首の痛みや手のしびれが続いている場合、症状の発生時期や経過が事故との関連性を判断する重要な材料になります。
保険会社から「事故との因果関係がない」と言われる理由
保険会社は、損害賠償の対象となる症状が交通事故によって発生したものかどうかを確認します。その際、MRI画像などで既存の変化が見つかると、「事故以前からあったものではないか」と主張される場合があります。
特に変形性頚椎症のような診断名は、慢性的な変化を示すことがあるため、保険会社が事故との関係を争う材料として使うことがあります。
しかし、診断名だけで事故との関係が否定されるわけではありません。事故の衝撃の大きさ、症状が出始めた時期、医師の所見、治療経過などを総合的に判断します。
交通事故との因果関係を判断する重要なポイント
事故との因果関係を説明する際には、事故直後から症状が発生しているかどうかが重要になります。
例えば、追突事故の翌日から首の痛みや手のしびれが出た場合、事故との時間的な関連性が認められやすくなります。一方で、数か月後に初めて症状を訴えた場合は、事故との関係について詳しく確認されることがあります。
また、医師の診断書やカルテに「事故後から症状が出現した」「事故による影響が考えられる」といった記録が残っていることも重要です。
治療を続けるために注意したいこと
交通事故後の症状が続いている場合、自己判断で通院を中断しないことが大切です。痛みやしびれが残っているにもかかわらず治療を止めてしまうと、その後の補償について不利になる可能性があります。
症状については、医師に具体的に伝えることが重要です。「痛い」だけではなく、「左腕に力が入りにくい」「手がピリピリする」「首から肩にかけて痛みがある」など、日常生活への影響も伝えましょう。
また、保険会社から治療終了を求められた場合でも、医師が治療継続の必要性を認めているなら、すぐに受け入れるのではなく、専門家へ相談する方法もあります。
交通事故後の症状で後悔しないための対応
交通事故による首の痛みや神経症状は、外見から分かりにくいため、周囲から理解されにくいことがあります。しかし、痛みやしびれが続く場合は適切な記録を残すことが大切です。
通院日、症状の変化、できなくなった動作などを記録しておくことで、事故後の状態を説明しやすくなります。
例えば、「事故前は子どもを抱っこできていたが、事故後は腕に力が入らず難しくなった」といった具体的な生活上の変化は、症状の影響を伝えるうえで役立ちます。
まとめ|変形性頚椎症と診断されても事故との関係が否定されるとは限らない
交通事故後に変形性頚椎症と診断された場合でも、診断名だけで事故との因果関係が決まるわけではありません。
事故前には症状がなく、事故後から首の痛みや手のしびれなどが発生している場合は、事故によって症状が表面化した可能性もあります。
大切なのは、事故直後からの症状経過を正確に記録し、医師の診断や治療内容をもとに適切に対応することです。保険会社とのやり取りで不安がある場合は、交通事故に詳しい専門家へ相談しながら進めることも検討しましょう。