警察が来て現場検証したら人身事故になる?物損事故との違いと診断書・その後の流れを解説

交通事故のあとに警察官が現場へ来て、当事者から話を聞いたり、車両の位置や道路状況を確認したりすると、「ここまで調べるということは人身事故になるのでは」と不安になることがあります。

しかし、警察官が現場に来て事故状況を確認したという事実だけで、人身事故になったと判断することはできません。物損事故でも警察が事故を取り扱うことがあります。人身事故かどうかを考えるうえで重要なのは、事故によって人が死亡または負傷しているか、警察がどのような事故として処理しているかです。

また、一般会話では事故現場の確認をまとめて「現場検証」と呼ぶことがありますが、警察実務上の手続や書類の名称とは必ずしも一致しません。警察が来たという一点だけから、行政処分や刑事処分まで決まったと考える必要はありません。

警察が現場を確認しても人身事故とは限らない

警察庁は交通事故統計上、「交通事故」について、人の死亡または負傷を伴うものを人身事故とし、物損事故と区別しています。[参照:警察庁 交通事故統計における用語の解説]

一方で、物損事故についても警察による事故処理は行われます。警察庁には物件事故の処理要領があり、一定の軽微な物件事故については条件を満たす場合に現場臨場を省略できる仕組みもあります。裏を返せば、物件事故でも状況に応じて警察官が現場へ臨場して確認することがあります。[参照:警察庁 物件事故処理要領]

したがって「警察官が来た=人身事故」「道路に印を付けたり写真を撮った=人身事故」と単純には判断できません。事故後の警察の処理状況を確認することが必要です。

人身事故とは人が死亡・負傷した交通事故

警察庁の定義では、人の死亡または負傷を伴う交通事故が人身事故です。負傷については、治療を要する期間が30日以上なら統計上の重傷、30日未満なら軽傷とされています。[参照:警察庁 用語の解説]

例えば車同士が接触してバンパーだけが壊れ、双方にけががなければ基本的には物損事故として考える場面です。一方、衝突によって首や腰などを痛めて受診し、事故による負傷として警察が取り扱えば、人身事故としての処理が関係してきます。

事故直後は興奮や緊張によって痛みに気付かず、数時間後や翌日になって首・腰などに症状が現れるケースもあります。体に異常を感じた場合は、事故区分だけを気にするのではなく医療機関を受診することが大切です。

診断書を警察へ提出したかどうかも確認ポイント

交通事故でけがをして医療機関を受診すると、医師から診断書の交付を受けることがあります。物損事故として受理された後に負傷が判明し、人身事故としての取り扱いを求める場合には、警察から診断書の提出などについて案内されることがあります。

ただし「病院へ行っただけで自動的に警察の記録が人身事故へ変更される」とは限りません。警察と病院は別の機関であり、受診したことだけをもって事故処理の区分を推測するのは避けたほうがよいでしょう。

現在どちらの扱いになっているのか分からなければ、事故を担当した警察署へ問い合わせるのが最も確実です。「この事故は現在、物件事故と人身事故のどちらで受理されていますか」と確認すれば状況を整理できます。

人身事故になると必ず免停・罰金になるわけではない

人身事故という言葉から、すぐに免許停止や罰金になると考えてしまうことがあります。しかし、人身事故として取り扱われることと、最終的な刑事処分・行政処分がどうなるかは同じ問題ではありません。

事故では、負傷の程度だけでなく、当事者の運転状況、過失、交通違反の有無などが個別に確認されます。警察庁も交通事故事件について、事故状況に応じた捜査を行っていることを公表しています。[参照:警察庁 交通事故事件捜査]

そのため「人身事故になったら必ず免停」「現場検証されたから罰金確定」といった判断はできません。事故の具体的な状況によって結論が異なります。

事故後に確認しておきたいこと

警察による現場確認が終わっても、事故対応そのものがすべて終了したとは限りません。当事者は警察だけでなく、自分が加入している自動車保険・バイク保険の保険会社にも速やかに事故を連絡しておくことが重要です。

また、事故状況を後から確認できるよう、ドライブレコーダー映像、事故現場や車両損傷の写真、相手方の連絡先、事故日時・場所、警察署や担当部署などを記録しておくと役立ちます。ドライブレコーダーの映像は上書きされる前に保存しておくと安心です。

体に痛みや違和感がある場合には、無理に「物損だけで済ませたい」と判断せず、まず健康を優先してください。受診後に警察へどのような手続が必要になるかは、事故を取り扱った警察署へ確認します。

「現場検証」という言葉だけでは事故区分を判断できない

事故当事者が「現場検証をした」と表現していても、実際に警察が行った手続が何だったのかは、その言葉だけでは分かりません。事故現場で車の位置を確認された、写真を撮影された、道路の幅を測定された、当事者から説明を求められた、といったさまざまな状況が考えられます。

警察庁も、交通事故捜査では客観的証拠に基づいて事故原因を究明するため、各種機器などを活用していると説明しています。一方で、一定の軽微な物件事故について現場確認を簡略化する制度もあります。[参照:警察庁 交通事故事件捜査]

したがって、現場で詳しく調べられたという事実は事故状況を確認するための重要な手続ではありますが、それだけを根拠に人身事故か物損事故かを断定することはできません。

まとめ:警察官が現場に来ただけでは人身事故と断定できない

交通事故後に警察官が来て現場の状況を詳しく確認したとしても、それだけで人身事故になったとは判断できません。物損事故でも警察が現場へ臨場し、事故状況を確認することがあります。

人身事故は基本的に人の死亡・負傷を伴う交通事故です。けががあり、医療機関を受診している場合には、診断書や警察への届出・手続について事故を担当した警察署へ確認するとよいでしょう。

現在の事故区分が分からない場合は推測せず、担当警察署へ「物件事故と人身事故のどちらで処理されていますか」と直接確認するのが最も確実です。また、現場確認を受けたことだけで免許停止や罰金が決まったわけではなく、その後の扱いは事故状況や負傷程度、過失、交通違反の有無などによって個別に判断されます。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール