個人間で5万円を貸すなら借用書は必要?借りる側のメリットと書くべき項目・印紙税を解説

友人や知人、親族など個人間でお金を貸し借りするとき、「少額だから口約束でいい」と考えることがあります。しかし数万円でも、返済時期や金額について後から認識が食い違うことはあります。

借用書は貸す側だけを守る書類と思われがちですが、実は借りる側にもメリットがあります。いくら借りたのか、いつまでに返すのか、利息はあるのかなどを双方で確認できるため、後から条件を変更されたり、言った・言わないのトラブルになったりすることを防ぎやすくなります。

5万円程度でも本人にとって大きなお金なら、書面を作成することは不自然ではありません。ただし、必要以上に複雑な書類にするより、重要事項を簡潔かつ明確に記載することが大切です。

個人間の貸し借りでも借用書を作る意味はある

法テラスでは、金銭の貸し借りについての契約を「金銭消費貸借契約」と説明し、その内容を書面にすることで、いつ、いくら貸し借りし、いつまでにいくら返すのかなど、双方が合意した内容を証明できると案内しています。[参照:法テラス 債務・貸付]

例えば5万円を貸した側は「来月末に全額返してもらう約束だった」と考え、借りた側は「余裕ができたときに返せばいいと言われた」と認識していたとします。口約束だけでは、後からどちらの認識が正しかったのか確認することが難しくなります。

そこで「5万円を借りた」「返済期限は○年○月○日」「利息なし」と書面に残しておけば、貸主だけでなく借主も合意内容を確認できます。人間関係を疑うためというより、お互いの記憶に頼らないための記録と考えると分かりやすいでしょう。

借りる側から見ても借用書にはメリットがある

借りる側にとって署名や住所などを書く作業は多少面倒かもしれません。しかし、条件が明確な借用書なら借主にもメリットがあります。

例えば利息なしで貸すのであれば「利息は付さない」と明記しておけば、後になって利息について認識が食い違うリスクを減らせます。返済期限についても同様です。

分割返済なら「毎月末日までに1万円を5回」などと具体的に決めておけば、借主側も返済計画を立てやすくなります。振込で返すなら振込先や振込手数料を誰が負担するのかまで決めておくと、さらに明確です。

借用書には何を書けばいい?

法テラスでは、借用書に一般的に記載される事項として、貸主と借主双方の名前、借金の金額、返済期限、利息を付ける場合の利率、契約日、貸主・借主の署名押印などを挙げています。[参照:法テラス]

個人間でシンプルな貸し借りをするなら、少なくとも次の内容を明確にしておくとよいでしょう。

  • 貸主・借主を特定できる情報
  • 貸付金額
  • お金を貸した日または契約日
  • 返済期限
  • 一括返済か分割返済か
  • 返済方法
  • 利息の有無と、付ける場合の条件
  • 双方が合意したその他の重要事項
  • 署名・押印など

名前を何度も書かせる必要があるかは書類の構成次第です。重要なのは記入欄の多さではなく、誰と誰が、いくらを、どの条件で貸し借りしたのかが明確になっていることです。

「書くのが面倒だから借用書なしで貸して」は断ってよい

貸す側が「借用書を作成すること」を貸付条件にするのは、個人間の取引として特別不自然なことではありません。5万円が貸主にとって失うと困る金額なら、なおさら慎重に判断する必要があります。

借りる側から考えても、金額・返済期限など通常の内容を確認したうえで署名すること自体は、返済する意思があるなら合理的な手続きといえます。ただし借主には内容を読んで納得できない条項について確認・交渉する余地があります。

したがって「借用書に合意できないなら貸さない」という線引き自体は一つの合理的な判断です。逆に、人間関係を理由に断りづらく、返ってこなくても困るお金を無理に貸すことは避けたほうがよいでしょう。

5万円の紙の借用書では印紙税にも注意

借用書を作る場合に見落としやすいのが印紙税です。国税庁によると、金銭借用証書や金銭消費貸借契約書などの「消費貸借に関する契約書」は印紙税の第1号文書に該当します。[参照:国税庁 No.7101]

2026年4月1日現在の国税庁の案内では、記載された契約金額が1万円以上10万円以下なら印紙税額は200円です。そのため、紙で作成する5万円の金銭消費貸借契約書・金銭借用証書が課税文書に該当する場合は200円となります。

なお、書類のタイトルだけで課税・非課税が決まるわけではありません。国税庁は、契約書とは名称にかかわらず、契約の成立や内容などを証明する目的で作成される文書としています。[参照:国税庁 No.7117]

現金手渡しより振込記録も残すと分かりやすい

借用書だけでなく、実際にお金を渡した事実を確認できる記録も残しておくと、後から経緯を整理しやすくなります。銀行振込なら日付・金額・送金先の記録が残ります。

現金で手渡しする場合でも、借用書に受領した事実を明確に記載するなど、実際の金銭授受が分かる形にしておく方法があります。LINEやメールなどで条件についてやり取りした場合も、消去せず保存しておくとよいでしょう。

返済についても同様で、振込なら履歴が残ります。現金返済なら、貸主が受け取った金額と日付を確認できる記録を残すことで、「返した」「受け取っていない」というトラブルを防ぎやすくなります。

約定は複雑にしすぎず双方が理解できる内容にする

個人で借用書を作る際、ネット上の契約書を参考にして難しい条項を大量に入れたくなることがあります。しかし、意味を十分理解していない条項まで追加するのはおすすめできません。

5万円程度のシンプルな貸し借りなら、「誰が誰からいくら借りたのか」「いつまでにどう返すのか」「利息はどうするのか」といった中心的な条件を明確にすることがまず重要です。

遅延損害金、期限の利益の喪失、保証人など複雑な条項を設ける場合や、金額が大きい場合には、自己流で作成するより弁護士・司法書士などの専門家へ確認する方法があります。また、実際に返済が滞った場合には、感情的な取り立てをせず、法的な手続きについて専門家へ相談することが重要です。

まとめ:5万円でも借用書を作るのは合理的。借主を守る意味もある

個人間で約5万円を貸す場合でも、返済期限や金額を明確にするため借用書を作成することには十分な意味があります。金額が世間一般で大きいか小さいかではなく、当事者にとって重要なお金かどうかで考えることが大切です。

借用書は貸主が返済を求めるためだけのものではありません。借主にとっても「借りたのは5万円」「返済日はこの日」「利息はこの条件」という合意を残せるため、双方を守る役割があります。

記入欄は必要以上に増やさず、当事者、金額、契約日、返済期限・方法、利息の有無などを分かりやすく整理しましょう。また紙の5万円の金銭借用証書などは、内容によって200円の印紙税がかかる点にも注意が必要です。借用書の作成に同意できない相手には貸さない、というルールをあらかじめ決めておくことも、個人間のお金のトラブルを防ぐ有効な方法です。

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