知人から借りた1000万円の返済額を減らせる?借用書なしでも弁護士に減額交渉を依頼できるか解説

知人や友人からまとまったお金を借り、毎月一定額を返済していたものの、収入減少や生活状況の変化によって同じ金額を払い続けることが難しくなることがあります。銀行や消費者金融からの借金とは違い、個人間の貸し借りでは契約書や借用書を作らず、口約束だけで返済を続けているケースも珍しくありません。

このような場合でも、弁護士に依頼して貸主との間に入ってもらい、月々の返済額を減らす、一定期間返済を猶予する、返済期間を延ばすといった条件変更を提案することは可能です。ただし、弁護士が入ったからといって貸主に減額を強制できるわけではなく、任意の交渉では最終的に相手の合意が必要です。

また、「誓約書や借用書がないから借金自体が無効」ということにも通常はなりません。個人間の1000万円という高額な貸し借りでは、これまでの振込記録やメッセージ、返済履歴なども重要になるため、返済が苦しくなった段階で一方的に支払額を変更するより、早めに専門家へ相談することが重要です。

借用書がなくても1000万円の借金は成立する

民法587条では、金銭などを受け取り、同じ種類・品質・数量のものを返すことを約束することで消費貸借が成立すると定められています。つまり、すでに1000万円を受け取り、それを返す約束をしているのであれば、紙の借用書を作っていなくても金銭消費貸借契約が成立する可能性があります。[e-Gov法令検索・民法587条参照]

例えば「1000万円を貸す」「毎月10万円ずつ返す」という話を口頭で行い、実際に1000万円が銀行口座へ振り込まれ、その後毎月10万円を送金しているケースです。契約書がなくても、銀行の入出金履歴やLINE・メールなどのやり取り、毎月の返済履歴から貸し借りの内容が認定されることがあります。

借用書がないことと、返済義務がないことは別問題です。むしろ1000万円の受領と毎月10万円の返済を長期間続けている事実は、金銭の貸し借りが存在したことを示す重要な資料になり得ます。

弁護士から月々の返済額を減らす提案はできる

返済が困難になった場合、弁護士に事情を説明し、代理人として貸主と交渉してもらう方法があります。具体的には、現在の収入、家賃や生活費、家族構成、他の債務などを整理し、「毎月10万円は継続できないが、毎月5万円なら確実に返済できる」といった新しい返済案を提示します。

裁判所を使わず当事者間の話し合いによって返済条件を見直す方法は、一般に任意整理・任意交渉と呼ばれます。法テラスも、任意整理について公的機関を利用せず当事者が私的に話し合って借金を整理する手続と説明しています。[法テラス・任意整理について参照]

知人からの個人間債務でも、弁護士が受任可能と判断すれば、代理人として返済条件について交渉することは可能です。貸主本人と直接話すと感情的な争いになりやすい場合には、第三者である弁護士を通すメリットもあります。

ただし相手に減額を受け入れる義務はない

最も重要なのは、弁護士が「毎月5万円にしてください」と通知しただけで、従来の毎月10万円という約束が自動的に変更されるわけではないことです。

法テラスも任意整理について、債権者には話し合いに応じる義務がないと説明しています。したがって貸主は、「5万円では返済期間が長すぎるので認めない」「最低でも8万円は払ってほしい」などと回答することができます。[法テラス参照]

弁護士にできるのは、法的状況と家計を整理したうえで現実的な返済条件を提案し、合意を目指して交渉することです。相手の同意なしに月額を一方的に変更する権限が生じるわけではありません。

1000万円を月10万円から5万円にすると返済期間は大きく延びる

貸主が減額案を受け入れるかを考える際には、残りの返済期間も重要です。仮に利息がなく、1000万円を一度も返していない状態から毎月10万円ずつ返すなら、完済まで100か月、約8年4か月かかります。

これを毎月5万円へ減らすと200か月、約16年8か月です。すでに一定額を返済済みであれば期間は短くなりますが、月額を半分にすると返済期間がおおむね倍になるため、貸主が簡単には受け入れない可能性もあります。

例えば「今後ずっと5万円」だけでなく、「半年間は5万円、その後は収入回復を前提に8万円」「ボーナス月には追加返済する」など、履行できる範囲で具体的な計画を作ることで交渉しやすくなる場合があります。ただし、実現できない返済計画を約束すると再び滞納することになるため、無理な提案は避けるべきです。

勝手に10万円から5万円へ変更するのは避けたほうがいい

これまで毎月10万円を返済する約束で支払ってきた場合、相手の了承を得ないまま「今月から5万円にします」と変更するのは注意が必要です。契約上10万円を支払う義務があると認められれば、不足分について債務不履行の問題が生じる可能性があります。

返済が難しくなった時点では、支払日を過ぎてから放置するより、その前に貸主へ事情を説明して条件変更を相談するほうが現実的です。直接交渉が難しい、関係が悪化している、1000万円という金額が大きく法的リスクを確認したい場合には、弁護士へ相談してから連絡する方法があります。

特に元の返済条件について書面がないケースでは、「毎月10万円だったのか」「完済期限が決まっていたのか」「利息の約束があったのか」について双方の認識が食い違う可能性があります。過去のLINE、メール、振込記録などは消さずに保管しておきましょう。

借用書がない場合は弁護士に見せる資料を準備する

相談の際には、契約書がないから何も持っていかなくてよいわけではありません。1000万円を受け取った日と方法、これまで返した総額、毎月の返済額、利息について話した内容などを整理しておくと、弁護士が状況を把握しやすくなります。

具体的には、貸主から1000万円を受け取ったことが分かる通帳・銀行明細、毎月10万円を振り込んだ履歴、LINE・メール・SMS、返済条件について話した記録などが考えられます。また、現在の給与明細、家計表、他の借金の残高など、今後いくらなら継続して払えるかを判断できる資料も役立ちます。

「10万円は無理」という説明だけでなく、「手取り○万円、固定生活費○万円なので毎月○万円なら継続可能」と数字で示せることが重要です。これは弁護士への相談だけでなく、貸主に新しい返済案を納得してもらううえでも意味があります。

利息の約束がなければ当然に利息が付くわけではない

個人間の貸し借りでは、元本だけでなく利息についても確認する必要があります。民法589条では、貸主は特約がなければ借主に利息を請求できないとされています。[e-Gov法令検索・民法589条参照]

したがって、1000万円を借りたから自動的に通常の借入利息が発生するというものではありません。ただし、口頭でも利息について合意していた場合や、支払期限を過ぎたことによる遅延損害金が問題になる場合は別の検討が必要です。

書面がない貸し借りでは、この点についても認識の違いが生じやすいため、「元金はいくら残っているのか」「これまでの10万円がすべて元本返済だったのか」まで確認したうえで交渉することが大切です。

交渉がまとまったら新しい返済条件を書面にする

減額交渉が成功した場合は、今度は口約束だけで済ませず、新しい条件を書面に残しておくことが重要です。例えば、現在の残元金、今後の毎月の返済額、支払日、振込先、利息・遅延損害金の扱い、最終返済予定日などを確認します。

「以前は10万円だったが5万円に変更した」という合意が曖昧なままだと、数年後に貸主から不足分を請求され、再び認識の違いが問題になるおそれがあります。

弁護士を代理人として交渉する場合には、合意内容を和解書などの形で整理することも検討できます。1000万円という高額な債務であれば、将来の紛争を避ける意味でも条件を明文化する価値は大きいでしょう。

話し合いがまとまらない場合は民事調停・特定調停という選択肢もある

直接交渉や弁護士による任意交渉で合意できない場合、裁判所の調停を利用する方法もあります。裁判所によると、民事調停は金銭の貸し借りなどについて、裁判のように勝敗を決めるのではなく、調停委員を交えて双方が話し合い、合意による解決を図る制度です。[裁判所・民事調停参照]

さらに、このままでは借金の返済を続けることが難しい場合には、債権者と返済方法を話し合い生活や事業の再建を図る「特定調停」も設けられています。裁判所は、現在の生活・事業状況や今後の返済方法を確認しながら双方の意見を調整すると説明しています。[裁判所・特定調停参照]

ただし調停も基本的には話し合いによる制度であり、希望した返済額がそのまま認められるとは限りません。1000万円という金額や他の債務、収入状況によっては、弁護士から個人再生や自己破産など別の債務整理手続を提案される場合もあります。

返済自体が長期的に難しいなら「月額を下げるだけ」でよいか確認する

一時的な収入減少であれば、返済額を一定期間減らしたり支払いを猶予したりする交渉が適していることがあります。一方、今後も収入回復の見込みがなく、1000万円の残債を長期間かけても返せない場合は、単純な分割額変更では問題を先送りする可能性があります。

法テラスも、返済継続が困難になった場合には、家計状況と返済可能額を踏まえて、再度の任意整理、特定調停、民事再生、自己破産などを検討することが考えられると案内しています。[法テラス・返済困難時の対応参照]

大切なのは「今月だけ何とか払う」ことではなく、今後も約束した金額を継続して払える返済計画を作ることです。1000万円規模であれば、減額後の完済時期まで計算して専門家に相談するとよいでしょう。

弁護士費用が心配な場合は法テラスも確認する

経済的に余裕がなく、弁護士への相談料や依頼費用を用意することが難しい場合には、法テラスの制度を利用できる可能性があります。法テラスでは、一定の収入・資産要件などを満たす人を対象に無料法律相談や弁護士費用等の立替制度を実施しています。

ただし、利用できるかどうかは収入、資産、事件内容などによって決まります。また、個人間の借入れについてどの手続が適切かも事情によって異なるため、最初の相談時に「知人から1000万円を借り、毎月10万円返済しているが継続が困難」と具体的に説明するとよいでしょう。[法テラス公式サイト参照]

まとめ|弁護士による返済額の減額交渉は可能だが、貸主の合意が必要

知人から借りた1000万円について、毎月10万円の返済が経済的に難しくなった場合、弁護士を代理人として、月々の返済額の減額や返済期間の延長などを貸主へ提案してもらうことは可能です。借用書や誓約書がないから弁護士に依頼できないということもありません。

一方、任意交渉では貸主に条件変更を受け入れる義務はありません。毎月10万円という合意があるなら、相手の承諾なしに一方的に5万円へ変更したことで債務不履行の問題が生じる可能性があります。そのため、支払いができなくなってから放置するのではなく、返済困難が分かった段階で相談することが重要です。

また、借用書がなくても1000万円の受領や返済義務がなくなるとは限りません。振込記録、返済履歴、メッセージなどを整理し、現在の家計から毎月いくらなら確実に支払えるのかを計算して弁護士へ相談すると、現実的な交渉方針を立てやすくなります。

任意交渉でまとまらなければ民事調停・特定調停などを検討でき、返済能力そのものが不足している場合には個人再生や自己破産を含む別の手続が適切なこともあります。1000万円という高額な個人間債務では、安易に支払額を自己判断で変更せず、契約内容と返済能力を確認したうえで対応することが安全です。

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