刑事裁判では、基本的に裁判で明らかになった犯罪について審理され、その内容に応じて刑罰が決められます。しかし、有罪判決が確定して刑が執行された後に、過去に行っていた別の犯罪が発覚するケースも考えられます。
このような場合、すでに受けた刑罰に追加されるのか、それとも新たに別の裁判が行われるのかは、発覚した犯罪の内容や時期によって扱いが変わります。今回は、日本の刑事手続きにおける基本的な考え方について解説します。
刑事裁判では発覚した犯罪だけが審理の対象になる
刑事裁判では、検察官が起訴した犯罪について裁判が行われます。そのため、捜査段階で発覚していなかった犯罪については、基本的にその裁判の判決には含まれていません。
例えば、ある人物が殺人事件で逮捕され、裁判で懲役15年の判決を受けた後に、以前行った窃盗事件が判明した場合、その窃盗については最初の裁判では判断されていません。
そのため、後から発覚した犯罪については、別の事件として捜査・起訴され、改めて裁判が行われる可能性があります。
刑が確定した後に別の犯罪が発覚した場合の流れ
すでに判決が確定した後で新たな犯罪が判明した場合、一般的には以下のような流れになります。
- 新たに発覚した犯罪について捜査が行われる
- 検察官が起訴するか判断する
- 起訴された場合は別途裁判が行われる
- 有罪になれば新たな刑罰が決められる
つまり、最初の判決に自動的に追加されるというより、後から発覚した犯罪について別途処理されることになります。
ただし、犯罪がいつ行われたのか、最初の裁判との関係、刑の執行状況などによって、最終的な刑の扱いは変わります。
複数の犯罪がある場合には「併合罪」の考え方が関係する
日本の刑法には、複数の犯罪について刑を決める際の「併合罪」という考え方があります。これは、複数の罪について同時に裁判を行う場合などに、一定のルールで刑を決める制度です。
例えば、ある人物が窃盗と傷害を同時期に行い、両方が発覚して一度の裁判で審理される場合、それぞれ別々に最大刑を単純に合計するのではなく、刑法の規定に従って一つの刑が決められます。
しかし、すでに一つの犯罪について判決が確定した後に別の犯罪が発覚した場合は、通常の併合罪として最初から一緒に裁判をすることはできません。そのため、別の手続きで処理されることになります。
服役中に別件の犯罪が発覚した場合はどうなるのか
例えば、殺人罪で懲役15年の刑に服している途中で、過去の別の殺人や窃盗が発覚した場合、その新たな犯罪について捜査や裁判が行われる可能性があります。
新しい事件で有罪判決が出た場合、すでに受けている刑とは別に刑が決められます。ただし、実際に刑をどのように執行するかについては、刑の種類や確定時期などの法律上のルールによって調整されます。
例えば、服役中に新たな懲役刑が確定した場合、単純に現在の刑期終了後に必ず新しい刑期が始まるとは限らず、法律上の手続きに従って扱われます。
時効が成立している犯罪は処罰できない場合がある
過去の犯罪が発覚したからといって、必ず裁判になるわけではありません。犯罪には公訴時効が定められており、一定期間が経過すると検察官は起訴できなくなる場合があります。
例えば、数十年前の犯罪が証拠とともに判明した場合でも、その犯罪の種類や法改正の影響によっては、すでに時効が成立している可能性があります。
一方で、重大な犯罪については時効制度が廃止されているものもあり、現在でも捜査や処罰の対象になる場合があります。
最初の裁判で発覚していれば結果が変わることもある
もし複数の犯罪が同じ時期に発覚していれば、一つの裁判でまとめて審理されることがあります。その場合は併合罪として処理され、刑の重さもまとめて判断されます。
例えば、殺人事件の捜査中に過去の窃盗事件も判明していた場合、裁判所は両方の犯罪を考慮して刑を決めることになります。
しかし、後から別の犯罪が見つかった場合は、その時点で新たな刑事手続きが開始されるため、最初の判決とは異なる扱いになります。
まとめ:有罪判決後に発覚した犯罪は別途処理されることが基本
刑事裁判では、その裁判で扱われた犯罪についてのみ判決が出されます。そのため、有罪判決が確定した後に以前の別の犯罪が発覚した場合、その犯罪について改めて捜査や裁判が行われる可能性があります。
ただし、併合罪の適用、公訴時効の成立、刑の執行方法などによって具体的な扱いは変わります。
「一度有罪判決を受けたから、過去のすべての犯罪が解決済みになる」というわけではなく、発覚していなかった犯罪は別の事件として扱われるという点が重要です。