ニュースなどで「再逮捕」という言葉を目にすることがありますが、同じ種類の犯罪を複数回繰り返した場合、実際に何度も再逮捕されるのでしょうか?例えば、無銭飲食などを10回行った場合、それぞれの行為ごとに再逮捕となるのか、という疑問について、法律の観点からわかりやすく解説します。
再逮捕とは何か?
「再逮捕」とは、すでに逮捕された被疑者が別の事件について、改めて逮捕されることを指します。つまり、1件目の容疑で逮捕されて捜査が進む中で、別の犯行が判明した場合に、それに対して新たに逮捕されるのが再逮捕です。
この再逮捕の制度は、捜査機関が個別の犯罪について適切に立件・起訴を進めるために存在しています。
自供した場合でも再逮捕されるのか?
例えば、最初に無銭飲食で逮捕された際に、取り調べ中に「実は同じようなことを過去に9回やった」と自供したとします。この場合、捜査機関がその9件について事実確認(被害店舗や日時、証拠など)を行い、それぞれが独立した犯罪として成立すると判断されれば、再逮捕される可能性があります。
ただし、必ずしも9回すべてが再逮捕という形になるわけではありません。状況によっては、1件目の勾留期間中に他の事件についても書類送検・追起訴という方法で処理されることもあります。
複数の犯罪と処理の方法:再逮捕 vs 併合送致
同一人物が複数の犯罪を行っていた場合、すべてを一件ずつ再逮捕することもできますが、現実的には時間やリソースの制約もあるため、「併合送致」や「追送検」という方法がとられることも多いです。
例えば、被疑者が自供した他の9件について、証拠が揃っている場合には、すべてをまとめて検察に送致し、一括で起訴するという形が取られることがあります。この方法であれば、再逮捕を何度も行う必要はありません。
再逮捕が行われる典型的なケースとは?
再逮捕が繰り返されるのは、以下のようなケースが多いです。
- 被疑者が黙秘・否認していて、事件ごとに証拠固めが必要な場合
- 初回の事件に対して勾留期限が迫っており、次の事件に対して改めて身柄を確保したい場合
- 事件ごとに被害者や被害額、場所が大きく異なる場合
こうした事情から、捜査機関が段階的に再逮捕を行うことで、より確実に立件しようとする意図があります。
無銭飲食のような軽微な犯罪での実際の運用
無銭飲食のような比較的軽微な犯罪の場合、再逮捕を繰り返すよりも、1度の逮捕・送検の中で複数件を併合して処理することが一般的です。
例えば、10件のうち2件については証拠がそろっているため起訴、残りは起訴猶予や不起訴処分になるということもありえます。つまり、すべての犯罪が再逮捕されるとは限らず、捜査状況によって異なります。
まとめ:10回の犯罪=9回の再逮捕にはならない可能性が高い
同じ犯罪を10回行った場合でも、すべてに対して再逮捕されるとは限りません。再逮捕が行われるのは、証拠や捜査状況、身柄の確保が必要かどうかに応じて決まります。多くの場合は、再逮捕せずに追送検や併合送致で処理されるケースが一般的です。
ただし、事件の内容が悪質だったり、否認している場合などは、再逮捕が何度も行われることもあります。実際の運用は事案ごとに異なるため、個別のケースでは弁護士など専門家の助言を得るのが確実です。